皆様こんにちは。弁護士の三井伸容と申します。
この度、私から皆様に身近な法律問題に関するコラムを発信させて頂くこととなりました!
精いっぱい頑張りますので、どうぞ宜しくお願い致します!
さて、カウンセリング中に「うちの会社は残業が多くて…。」というお話を聴くことは比較的多くはないでしょうか?
そこで今回は「人間関係」と並ぶ職場の2大ストレスともいうべき「長時間労働」について法律の切り口でお話をさせて頂こうと思います。
長時間労働と未払残業代
長時間労働といえば、まず思いつくのが残業代の未払いです。
一見「払うか否か」のシンプルな問題にも思えますが、実際はやや「グレー」な部分があったりもします。
例えば、いわゆる「固定残業代」です。これが非常に曲者で、会社としては各種手当などで残業代を支払っていたつもりが、法律的には、それらを残業代とは評価できないことが珍しくありません。
特に最近、固定残業代について会社側に厳しい結論を下す裁判所が多くみられますので、会社としては一旦制度を見直すべきタイミングかもしれません。
長時間労働と労災
昨今、残業代の削減だけではなく、労働者の健康管理の観点からも、労働時間の管理、調整が求められています。
「過労死」「過労自殺」などの言葉を最近よく耳にしますが、これらは長時間労働などの過重な業務負担によって心身の病気を発症し、それが原因で死に至ってしまったという労働災害(=労災)のひとつです。
長時間労働による労災は、死亡などの重大な結果が生じやすく、会社に民事上の損害賠償責任が認められた場合には、賠償額が億を超えることも珍しくありません。
- ※誤解されやすいのですが、会社が上記損害賠償責任を負うには「労災であること(=病気の発症の原因が仕事にあること)」だけではなく「そこに至ったことへの会社の落ち度」も必要です。
このタイプの労災は、日々の中ではリスクが見えづらく、最悪の事態となるまで状況が放置されやすいので極めて危険です。
まとめ
従業員や会社にとって不幸な結果となることを防ぐために、業種や規模を問わず、会社が腰を据えて労働時間やメンタルヘルスの問題を考えなければならない時代が到来したように思います。
その際には、皆様も含めた各種専門家のサポートが不可欠ですので、このコラムを話のネタに積極的に関与先と協議などして頂けると幸いです。
(監修者:弁護士 三井伸容)