皆さんこんにちは!! 弁護士の三井です。

このコーナーは、産業カウンセラーの皆様が押さえておくべき法律問題を、分かり易く解説する(ことを目標にしている)コーナーです。皆様の業務に少しでもお役に立てれば幸いです。

法的なトラブルには様々なものがありますが、特に労働トラブルは、法改正やその時々の社会情勢に影響されやすい傾向があります。そのため、最新の事例を知っておくことがとても重要です。

1. 退職妨害

現在、中小企業を中心に深刻な人手不足となっております。そんな中で、会社を辞めたいのになかなか辞めさせてもらえないというトラブルが増加傾向です。

中には従業員への損害賠償をちらつかせて退職を思いとどまらせようとする会社もあるようです。

しかしながら、このような損害賠償の主張は、よくよく話を聞いてみると法律上は到底通らないような主張であることも珍しくありません。

退職に関する法律のルールや残った有給休暇などをうまく利用することで大きな問題なく退職できることも多いです。このようなお悩みを抱えている方がいましたら、是非、弁護士につないでいただいたほうが良いと思います。

2. 無期転換と直前の雇止め

「無期転換」という制度をご存知でしょうか。同じ会社での契約期間の通算が5年を超えた有期契約の労働者が無期契約への転換を求めることができる制度です。

これは契約期間満了で契約を切られてしまう労働者を保護するためのものなのですが、最近、この制度の適用を避けるためにかえって5年の期間満了前に契約の更新を拒絶される(「雇止め」)ケースが増えています。

法律上は、雇止めを一定の場合に無効とするルールが別にありますので、5年経過前だからといって絶対に更新を拒絶できるとは限りません。同様の立場の社員で協力して対抗できる場合もありますので、すぐに諦めないことが重要です。

また、関連する問題として、派遣法の改正で、派遣労働者が同一の社内組織単位で働ける期間を最長3年とする制度ができました。この期間の到達前に派遣契約を切られてしまうケースも今後社会問題化しそうです。

3. 障害者雇用の問題

官公庁での障害者雇用数の水増しが話題となったのが記憶に新しいところです。

受け入れがスムーズにいっている企業もあれば、なかなかうまくいかない企業もあります。特に中小企業は人員が限られ、経験やノウハウが十分でないことが多いのでなおさらです。

問題が深刻な場合、入る側、受け入れる側双方がメンタルヘルスの問題を抱えてしまうような事案もあります。ケースによっては、産業カウンセラーの皆様のお力添えが必要な分野だと思います。

4. まとめ

比較的最近、問題となっている労働トラブルを中心にご紹介しました。

皆様の適切なリファーやお力添えで助かる方がたくさんいらっしゃると思いますので、私の話を頭の片隅においていただけると幸いです。

(監修者:弁護士 三井伸容

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