Q. 裁判に勝つための一番大切なポイントは何ですか。
A. 弁護士として多数の裁判を行った経験からしますと、裁判に勝つ一番大切ポイントは「証拠」です。民事裁判は双方の主張を比べて裁判所が最終的な判断をするものです。裁判所は証拠があるかどうかを極めて重視します。
ここで大切なポイントはどのような証拠が重視されるかということです。以下にいくつかポイントをまとめました。
1. 裁判所は書類を極めて重視する!
裁判所では、契約書やその他書類があると、原則として書類通りの出来事があったのだろうと判断します。
トラブルにならないと思い契約書を作成しなかったために後日証拠がなく苦労することはよくあります。
契約書・請求書・領収書等の書類を1つ1つきちんと作成することが重要です。裁判所は書類を極めて重視します。
2. 裁判所は第三者の証言を重視する!
裁判所は、裁判の当事者が言っていることを残念ながらあまり信用しません。
お互いの言っていることが違うから裁判になっているからです。では、裁判所は誰の言っていることを信用するのでしょうか?
裁判所が重視するのは、利害関係のない申立方第三者の証言です。
たとえば交通事故の裁判であれば、交通事故をたまたま目撃していた中立な第三者の証言があれば、原則として、第三者の証言通りの判決がなされるといってもよい位です。
3. 裁判所は専門家の証言を重視する!
例えば、医療裁判の場合、裁判所が信用するのは、当事者でない医師が述べた意見です。
建築裁判の場合、裁判所が信用するのは、当事者でない一級建築士やその他建築のプロが述べた意見です。
裁判官は法律の専門家ですが、各分野全てについての専門家というわけではありません。
裁判所は、専門家の意見を重視しますので、裁判になった場合には専門家の助けを借りる事が重要です。
4. 録音したデータも証拠になる!
よくあるご質問に、「ICレコーダーやテープで録音したデータも証拠になるか」というご質問があります。
民事裁判の場合、このような録音データも証拠になります。発言内容を録音しておけば書類と動揺の重要な証拠になります。
自分がいる場所での録音や、自分が話している電話内容の録音は証拠となりますので、積極的に録音することにより証拠を集めることが重要です。
ただし、自分がいない場所の会話を遠隔操作等で録音する(いわゆる盗聴)は、犯罪となってしまうことがありますし、証拠としても価値を否定されることもありますので絶対にしてはいけません。
5. 自分の主張内容を記録する!
送付した郵便物の内容及び到達日を証明するためには内容証明郵便という郵便局の制度があります。
特定の書類が特定の日に存在したことは公証役場で確定日付を取得することにより証明できます。
メール・写真等も自分の主張内容の裏付けとして重要な証拠となります。自分の主張内容や自分の発言内容を証拠化したいときには様々な角度からの検討が必要です。
以上のように、裁判で且つポイントとなる証拠には検討すべき重要な事項がたくさんあります。
自分が有利になる証拠を積極的に残すことにより、取引先との間でトラブルになった場合でも早期に有利な解決をすることが可能になります。
後日の紛争を防止し、経営を安定させるためにも、証拠や書類をきちんと準備することを習慣にすることをお勧めします。
(監修者:弁護士 大澤一郎)