皆さんこんにちは!! 弁護士の三井です。
このコーナーは、産業カウンセラーの皆様が押さえておくべき法律問題を、分かり易く解説する(ことを目標にしている)コーナーです。皆様の業務に少しでもお役に立てれば幸いです。
昨年もセクハラやパワハラの問題は世間を騒がせており、なかなかこの問題が落ち着く様子はありません。
産業カウンセラーの皆様の中には、会社にお勤めの方も多いとうかがっておりますので、皆様が社内でハラスメント相談窓口の担当になられたり、関連業務を扱われることがあるのではないかと思います。
今回は、弁護士からみた相談初期段階での注意点をいくつかお伝えしたいと思います。
1. 相談環境などの注意点
まず、被害相談を受ける場合、通常はプライバシーの観点から密室を用意すると思いますが、それだけでは配慮が不十分な場合があります。
何を言いたいのかというと、被害相談自体を秘密にしていても、相談の日時、場所、雰囲気、これまでの慣行などから、周りが「あの人何かあったのか?」と勘ぐってしまうような状況では配慮が不十分だということです。
この観点から、相談の時間や場所などについても、相談者側の立場に立った配慮をする必要があります。
また、あまり長時間話を聞きすぎるのも負担が重く、場合によっては二次被害のおそれもあるため、通常は長くても4、50分程度で切り上げるのが良いと思われます。
なお、セクハラ関連の場合には、被害者と同性の担当者も加えるのが適切かと思います。
2. 相談開始時の注意点
相談者は不安な状況ですので、まずは担当者の自己紹介と一緒に、相談したことで不利益な扱いはしないこと、プライバシーを守ることをきちんと伝えるのがよいでしょう。
合わせて、一般的な社内対応の流れも最初に説明してあげたほうがスムーズかと思います。その際、今後の進め方については、相談者の意向も十分配慮することを伝えましょう。
相談者の様子や言動から精神的な不調が疑われる場合には、早期の段階から産業医等と連携をとって注意していく必要があります。
また、被害に関して客観的な資料(メール等)がある場合には、できる限り持参してもらうと良いでしょう。
3. まとめ
何事も「事前準備と始め」が肝心ですので、今回は特に事前準備と相談の開始時点での注意点をお話しました。
この後も、第三者や加害者とされる人へのヒアリング、ハラスメント該当性の判断、判断に応じた対応と一連の流れが続いていきます。
対応に不安がある場合には、厚生労働省のマニュアルや多数の書籍がありますので、それらを参考にされたり、専門家にご相談の上でご対応いただくと良いと思います。
(監修者:弁護士 三井伸容)