皆さんこんにちは!! よつば総合法律事務所の三井です。

このコーナーは、産業カウンセラーの皆様が押さえておくべき法律問題を、分かり易く解説する(ことを目標にしている)コーナーです。皆様の業務に少しでもお役に立てれば幸いです。


昨今、産業カウンセラーとして企業に勤務したり、関与される方も多くいらっしゃると思います。
今回は、そのような場面に関わる法律トラブルについて、皆様と一緒に考えてみたいと思います。

1. 検討事例

カウンセラーのAは、自身がカウンセラーとして勤務する会社で従業員Cのカウンセリングを行いました。Cは不眠の症状も訴えていたため、Aは病院への受診や休養を勧め、その上で社内の環境調整等にも協力する旨伝えました。
Cは、Aにお礼を言いつつも、必要になったらまた相談する旨回答してその場は終了となりました。その後、CからAに連絡が来ることはありませんでした。

そこから数が月たったある日、Cが突然自殺をしたという情報が入りました。
遺族は、AがCのカウンセリングをしていたことを知り、もっと早く危険に気付けたのではないかという気持ちを持っているようです。

この場合、カウンセラーAの法的な責任はどうなってしまうのでしょうか?

2. 重要な視点

Aの法的な責任を考える上でまず重要なのは、以下のような視点だと思われます。

①AがCの自殺を予見できたのか?
②予見できたとすると、自殺を防止するためにカウンセラーとしてなすべき義務をAが尽くしたかどうか?

3. 検討

上記視点に基づいて実際に検討してみましょう。

まず①については、カウンセリング当時、Cに自殺を予見させるような事情があったかどうかが問題になりそうです。
少なくとも本件の事情だけでは、自殺を予見することは難しいように感じます。もっとも、Cの症状の重さや他の言動などによっては、自殺の予見が可能であったとされる可能性もあると思います。

次に②の点はどうでしょう?
上記のとおり、自殺を予見できるような事情がなかったとすれば、Aの対応に大きな問題があるようには思えません。
もっとも、本件で仮に自殺が予見できるような事情があった場合には、病院や家族、上司などへの引継ぎをより適切に行う必要がでてくるのではないでしょうか。

本人がそのような対応を望まない場合には、説得の必要性が出てくる可能性もありますし、自傷のおそれと守秘義務の衝突という問題も生じます。
この場合、カウンセラーとして非常に難しい判断を迫られることになります。

4. 最後に

カウンセリングの場面で、このようなトラブルに巻き込まれる可能性もゼロとは言い切れません。

いざというときのための法的知識を身に着けること、そして、自分を守るためにも契約関係の書類を整備したり、日々正確な記録をつけておくことも重要なのではないでしょうか(なお、今回のお話には私見が含まれておりますのであらかじめご了承ください。具体的なお悩みがある場合には、必ず弁護士等の専門家にご相談ください。)。

(文責:弁護士 三井伸容