
Q. 起業して長い間、会社を頑張ってやってきました。厳しい時も良い時もあり、周りの方に感謝しています。ただ、私も高齢になりました。
後継者もいないですし、業績もあまり良くないです。そのため、会社を閉めることも考えています。なるべく関係者に迷惑はかけたくないのですが、どのような方法があるのでしょうか?
A. 会社を閉める方法として、事業を第三者に譲渡できない場合は、①休業する方法、②清算手続(通常清算、特別清算)をとる方法、③破産手続をとる方法があります。
会社のそのときの状況によって、最適な方法を選択しましょう。
1 各方法について
(1) 休業
会社が当面事業活動を行わない場合、登記を残したまま休業する方法があります。休業の場合、会社は存続しますので、会社が消滅するわけではありません。
具体的には、税務署に休業する旨の異動届出書を提出したり、都道府県・市区町村・年金事務所等に届出したりします。
(2) 会社法に基づく清算手続
ア 清算手続は、会社が自主的に行う清算方法です。清算手続が終了すると、会社は消滅します。清算手続は、通常清算手続と特別清算手続があります。
イ 通常清算手続
会社の債務が資産より少ない場合にとることができる方法です。株主総会の特別決議で解散決議をを行います。その後、清算人により現務の結了、財産の換価処分、債務の弁済等を行います。
そして、余った財産があれば株主に分配します。手続が終了すると、会社は消滅します。通常清算は、裁判所の監督を受けない手続です。
ウ 特別清算手続
会社の債務が資産よりも多い場合(債務超過)は、通常清算はできず、特別清算手続をとる必要があります。
この場合、会社は解散した上で、清算人が、裁判所と監督委員(選任された場合)による監督を受けながら清算手続を進めます。手続が終了すると、会社は消滅します。
(3) 破産手続
会社の債務が資産よりも多い場合に、裁判所の関与のもとに行う手続です。裁判所が選任する破産管財人が、調査・換価・処分を行い、債権者に配当等をする手続です。手続が終了すると、会社は消滅します。

2 各手段の選択について
(1) 会社の事業を再開する可能性がある場合は休業
会社の事業を再開する可能性がある場合は、会社が存続する休業という手段を選択するのが通常です。
休業の場合、税務署および都道府県・市区町村に休業届を提出するだけで手続が完了します。
清算手続や破産手続に比べて煩雑な手続きは不要です。
ただし、休業中は会社の所得がなくても、原則として市区町村により法人住民税の均等割が課税されます。
もっとも、休業の届出をすれば、市区町村によっては均等割が減免される場合もあります。
また、税務署に対する毎年の申告も必要です。さらに、休業中でも会社は存続しています。
役員の任期満了の際にそのまま役員を続ける場合は重任登記が必要です。申請を怠ると過料を科される可能性があります。
これに対して、通常清算手続を選択した場合には、会社は消滅します。法人住民税の均等割は課税されません。
役員の任期満了に伴う登記手続も不要です。
(2) 債務超過の場合、最終的な解決のためには破産も選択肢の1つ
会社が債務超過の場合は、通常清算手続はできません。そのため、破産手続か特別清算手続をとることが多いです
両手続とも裁判所に申し立てをして、裁判所の関与のもと手続を進めます。
破産手続では、裁判所が選任する破産管財人が手続を進めるのに対し、特別清算手続では会社が選任した清算人が手続を進めます。
しかし、特別清算手続は、債権者の同意が必要な手続となり、また手続がとれるのは株式会社に限定されています。
そのため、債権者の協力が得られない場合にはとるべき手続ではありません。
そのため、債務超過の場合、最終的な解決のためには破産も選択肢の1つです。
(3) 代表取締役個人の債務にも注意
会社の債務について、代表取締役個人が連帯保証人となっていることがあります。
連帯保証人になっている債務が残ってしまう場合、代表取締役も何らかの債務整理をする必要があることが多いです。
3 まとめ
会社を閉める場合には複数の選択肢がありますが、どの手続をとるかは状況に応じて選択していく必要があります。
ただし、タイミングを逃すと望ましい手続をできなくなるおそれもあります。そのため、会社を閉めることを検討されている場合は、早めに専門家に相談することが有用です。





