こんにちは!! 弁護士の三井です。

このコーナーは、産業カウンセラーの皆様が押さえておくべき法律問題を、分かり易く解説する(ことを目標にしている)コーナーです。皆様の業務に少しでもお役に立てれば幸いです。

さて今回は「従業員のメンタルヘルス不調とそれに関わる法律問題」について取り上げます。

食欲の秋ですね!

私は最近食べすぎのせいか、先日スーツを買いに出たところ、お腹周りがきついのでウエストを生地の限界ギリギリまで広げるよう店員さんに勧められてしまいました…。

他方、秋になると、物寂しい気分になり食欲が落ちてしまう方もいるようです。一説によると、秋になり日照時間が減ることが原因のひとつではないかと言われているようです。

そこで、今回はメンタルヘルスの不調とそれに関わる法律問題について少しお話させて頂こうと思います。

精神疾患と労災

前回お話させて頂いた長時間労働や職場の人間関係などが原因で精神疾患を抱えてしまった場合、一定の基準を満たせば、いわゆる「労災」と認められることがあります。

労災と認められると、労働者には主に以下のメリットがあります。

  1. 労災保険から一定の補償金が下りる。
  2. 原則、会社は、治療中や治療期間終了後一定期間その労働者を解雇ができなくなるので治療に専念できる(※ただし、法律上の例外あり。)。
  3. 発症の原因が会社にあるとして損害賠償請求をする場合、労災認定を得ている方が有利に話を勧められる可能性が高い。

このようなメリットがありますので、発症前に長時間の残業がある場合などには、クライアントに労災申請を検討してもらうことも大事です。

メンタルヘルスの不調と休職・復職

近時、精神疾患の労災申請件数が増加傾向にありますが、実際のところ、まだまだ基準が厳しいことは否定できません。また、会社との関係悪化などをおそれて申請を躊躇する場合もあるかと思います。

そのような場合、会社の休職制度を利用して治療に専念することが多いでしょう(「私傷病休職」)。

制度内容が就業規則などであらかじめ決まっていれば良いのですが、実際は不明確な場合も多く、せっかく体調が回復してきたのに休職中の期間や待遇(賃金・社会保険料負担・復職方法等)などで会社とトラブルになることがあります。できる限り休職前にきちんと書面で条件などを決めておくとよいでしょう。

なお、復職の場面もトラブルとなりやすいのですが、細かい話になりますので、また次の機会にでもお話させて頂こうと思います。

今回のまとめ

  • 長時間労働などが原因で精神疾患にかかった場合には労災申請を検討するべき
  • 精神疾患が原因で休職をする場合には事前に条件などを会社と取り決めておくことが重要

(監修者:弁護士 三井伸容

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