最終更新日:2023年12月4日
会社にとって身近な法律の一つに、独立禁止法があります。独立禁止法の正式名称は、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」といい、その目的は、公正かつ自由な競争を促進し、事業者が自主的な判断で自由に活動できるようにすることです。
独禁法は、すべての事業者に適用されますので、自らの事業活動が独禁法に違反しないために、また、不公正な取引から自分たちの会社を守るためにも、独禁法の内容を理解し、未然防止に努めることが重要となります。そこで、今回は、”知って得する”独禁法の規制についてご説明します。
1. 独禁法違反の後遺類型(身近なものをピックアップしました!)
優先的地位の濫用
取引上優越的地位にある事業者が、取引先に対して不当に不利益を与える行為。
例えば、発注元の一歩井的な都合による押し付け販売、返品、従業員の派遣要請、協賛金の負担要請などの行為がこれに該当します。
※下請取引の場合は、独禁法の補完法の「下請法」できめ細やかに規制されています。
抱き合わせ販売
商品やサービスを販売する際に、不当に他の商品やサービスを一緒に購入させる行為。
例えば、人気の商品と売れ残りの不人気商品をセットで販売し、買い手が不必要な商品を買わざるを得ない状況にするような行為がこれに該当します。
※単品での購入が選択可能な「セット販売」は、抱き合わせ販売とはみなされません。
再販売価格の拘束
指定した価格で販売しない小売業者等に経済上の不利益を課したり、出荷を停止するなどして小売業者等に自社の商品を指定した価格で販売させる行為や指定した価格で販売することを小売業者等と合意して、自社の商品を指定した価格で販売させる行為。
※書籍、雑誌、新聞、音楽用CDなどの著作物は適用除外となります。
入札談合・カルテル(事業者などが相互に連絡を取り合い、商品の価格や販売数量などを共同で取り決め、競争を制限する行為)など。
※事業者が自ら関与したカルテル・入札談合については、その違反内容を公正取引委員会に自主的に報告した場合、課徴金が減免される制度(課徴金減免制度・リーニエシー)があります。
2. 独禁法に違反した場合に受ける制裁
違反した行為類型によって異なりますが、違反行為をした会社は、
- 公正取引委員会による排除措置命令・課徴金納付命令
- 被害者からの損害賠償請求や差止請求
- その他罰則
などを受けることがあります。
3. おわりに
上記の行為類型のほかにも、独禁法で規制されている行為はたくさんあります。
また、独禁法は会社の取引に密接に関連する法律ですので、独禁法に該当するものがあるかもしれない場合や、被害にあっているかもしれない場合には、弁護士や公正取引委員会にご相談することをお勧めします。
(監修者:弁護士 松村茉里)