Q. 昨日の夜、お客様から店舗へ連絡があり、会社のミスで損害が生じたということで、烈火のごとく怒っておられました。

とりあえずお客様には責任者に伝えた上でお電話をさしあげる旨をお伝えしましたが、会社のミスかどうかもまだわからない状況です。どうすればよいでしょうか?

A. まずは、お客様になるべく早くコンタクトをとり、ご迷惑をおかけしていることのお詫びします。その後は、事実関係を明らかにするために早急に十分な調査をした上で、適切かつ迅速な対応をとることが重要です。

そのため、一般的に以下のようなプロセスで対応することが重要です。


1. ご迷惑をおかけしていることの取り急ぎの謝罪と調査して回答することの返答

お客様とのトラブルは初期対応が極めて重要です。最初の対応でうまくいかないと、トラブルが深刻化し紛争化することがあります。

特に、お客様はそこまでお怒りでないのに、会社の対応でお怒りになり紛争化することもあります。

ただし、会社のミスでないのに、初期の段階で会社のミスと認めてしまうと、その後撤回することは難しくなります。

社内調査が終わるまでは確答は避けた方がよく、特に書面化することはできる限り避けた方がよいと思います。

2. 社内調査

責任者が中心となり、社内担当者を含めその当事者へのヒアリング等を十分に行い、できる限り迅速に調査をします。

そして、調査結果は、時系列に沿った経過報告書を作成して共有する形で書面化しておきましょう。
そして、書面化することで、どの点が調査不十分なのかが見えてくることも多く、また、調査結果に不自然な点があれば、その時点で気が付くことも多いです。

なお、日頃からトラブル時の経過報告書の書式は作成して統一化しておくと、いざトラブルが発生したときも慌てずに対応することが可能となりますので、日頃から体制整備等しておくことが有用です。

3. 相手への回答とその後の対応

調査の結果こちらのミスでお客様に損害が発生したことが判明した場合には、すみやかに謝罪と場合によっては示談交渉をすべきです。

その際、返金や代替品の手配、修理など、通常想定されうる対応での示談をまず目指します。

そして、解決金等の金銭解決はあくまで例外として、相手が要求してきた場合等のみ検討するという形をとることが多いです。

その他、再発防止策の提示や担当者に対する内部の処分等も相手に示す必要がある場合もあります。

一方、調査の結果、こちらに非がない場合は、毅然とした対応をとるべき場合が多いでしょう。

4. 終わりに

お客様からのクレーム対応は、後ろ向きな対応と捉えがちです。

しかし、その際には、そのクレームが「正当なクレーム」と「クレーマー」からのもののどちらであるかを見極めることが大事だと思います。

「正当なクレーム」は、むしろ会社の業務改善となる貴重な意見となりうるものであり、会社の財産ともなりうるものです。

そのため、そのようなクレームに対応する際には、むしろ感謝の気持ちで接するよう意識することで、前向きな対応と捉えることができることもあると思います。

(監修者:弁護士 小林義和

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