Q. 自身の影響で事業が不振となりました。また、自宅の住宅ローンについても滞りがちとなっています。どのようにすればよいでしょうか。
A. このたびの震災で、事業の経営不振のご相談が増えています。また、今後、多数の同様の相談が増えることが予想されます。金融機関からの事業資金の借入や住宅ローンについては、当然に金利の減免や支払いの猶予が得られるというわけではありません。 ただし、阪神・淡路大震災の時は、住宅ローンの一定期間の支払猶予・機関の延長等の措置が公的機関・民間の金融機関を問わず行われました。また、住宅ローン以外の事業資金についても利息の軽減、一定期間の支払い猶予などの措置がとられました。
具体的な措置の内容は各金融機関によって取扱いが異なり、被害の程度によって異なる基準を設ける金融機関もあったようです。
阪神・淡路大震災の時と同様の扱いが今回もされる可能性は高いので、金融機関の借入については各金融機関に問い合わせをしてみましょう。
他方、金融機関との交渉以外の方法としては、裁判所による申立をすることによる解決方法もあります。
自宅だけはどうしても残したいという方のためには民事再生(住宅資金特別条項付)の申立をするという方法もあります。
細かい条件は色々ありますが、住宅ローンについては今まで通りの条件で支払いを行い、かつ、住宅ローン以外の借金については5分の4が免除される可能性があります。
しかも、残りの5分の1の借金についても3年(36回)の分割払いでよいという規定になっています。自宅だけは何とか残したいという方にはお奨めの方法です。
利率が高い消費者金融からの借入がある等の場合には、過払い金返還請求といって支払いすぎた利息を返還してもらうことができることもあります。
完済した業者であったとしても、完済後10年以内であれば過払い金返還請求は可能です。
最後の手段としては自己破産という方法もあります。このたびの地震が原因と考えられる場合、裁判所での審査も比較的スムーズに進むと思われます。
自己破産をしたとしても、全ての財産を失うというわけではなく、一定の財産は手元に残すことができます。たとえば個人所有の時価20万円以下の車両や身の回りの家財道具などは手放す必要はありません。
借金の問題は早めの相談・早めの解決が重要です。
もう少し前の状態だったらよい解決ができたのにと専門家として感じるときが多数あります。家族のことや従業員のことも考え、早めの対策をしたいものです。
(監修者:弁護士 大澤一郎)