こんにちは!! よつば総合法律事務所の根來です。

弊所は以前から比較的多くの労働事件(会社と従業員の方との間のお仕事に関するトラブル)を常時扱っております。

そこで、今日は、「正当防衛は、どんなときに認められるか」についてお話しさせて頂こうと思います。ご参考になれば幸いです。


暴漢に襲われてとっさに身を守るために突き飛ばした…、「正当防衛」という言葉は映画やドラマでよく耳にすると思います。

では、どのような場合に、どのような条件が揃えば、「正当防衛」と認められるのでしょうか。今回は、「正当防衛」について、確認をしてみたいと思います。

1. そもそも正当防衛とは?

刑法36条1項は、正当防衛について、「急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。」と定めています。

正当防衛と認められるためには、刑法上、「急迫不正の侵害」「自己又は他人の権利を防衛するため」「やむを得ずにした行為」という要素が求められているのです。

では、それぞれの要素はどのような意味なのでしょうか。

2. 急迫不正の侵害とは?

「急迫不正の侵害」とは、「法益の侵害が現に存在しているか、または間近に押し迫っていること」を意味します。つまり、危険が目の前に存在することを必要としています。

では、攻撃を受けることを予想し、この機会を利用して積極的に反撃しようとしていたような場合、「急迫不正の侵害」と認められるのでしょうか。

判例においては、「単に予期された侵害を避けなかったというにとどまらず、その機会を利用して積極的に相手に対して加害行為をする意思で侵害に臨んだときは、もはや侵害の急迫性の要件を満たさない」(最決昭52・7・21)としたものがあります。よって、攻撃を受けることを予想し、この機会を利用して積極的に反撃しようとしていたような場合は、「急迫不正の侵害」と認められないこととなります。

3. 自己又は他人の権利を防衛するためとは?

「自己又は他人の権利を防衛するため」とは、「防衛の意思」が必要であることを意味します。「防衛の意思」とは、「急迫不正の侵害を認識しつつ、これを避けようとする単純な心理状態」とされます。つまり、身を守ろうとして行動することを必要としています。

では、「防衛の意思」として、どの程度の意思が必要なのでしょうか。本能的に怒りを感じつつ、とっさに身を守ったような場合にも認められるのでしょうか。判例においては、「相手の加害行為に対し憤激又は逆上して反撃を加えたからといって、直ちに防衛の意思を欠くものと解すべきではない」(最判昭46・11・16)としたものがあります。
よって、緊急状態で本能的に怒りを感じつつ、とっさに身を守ろうとしたのであれば、「防衛の意思」と認められることとなります。

4. やむを得ずにした行為とは?

「やむを得ずにした行為」とは、「反撃行為が、権利防衛の手段として必要最小限であること、すなわち防衛手段として相当性を有するものであること」(最判昭44・12・4)を意味します。つまり、必要性と相当性が認められることを必要としています。これは、武器を使用しているか、年齢・性別・体格等の身体的条件等から総合的に判断されることとなります。

では、身を守るために突き飛ばした結果、襲撃者が頭を打ち付け怪我を負ったというように、反撃の結果として予想外に重大な結果が発生した場合にも、「やむを得ずにした行為」と認められるのでしょうか。判例においては、「反撃行為が右の限度を超えず、したがって相当性を有する以上、その反撃行為により生じた結果がたまたま侵害されようとした法益より大であっても、その反撃行為が正当防衛でなくなるものではない」(最判昭44・12・4)としたものがあります。

よって、反撃行為が「やむを得ずにした行為」であれば、予想外に重大な結果が発生したとしても、正当防衛は成立します。

5. 正当防衛と認められると?

では、正当防衛と認められるとどうなるのでしょうか。

「罰しない」と刑法は、規定しています。これは、形式的には犯罪とされる行為であっても、違法ではなくなるということを意味します。よって、犯罪となりません。

6. 最後に

正当防衛がどのような場合に認められるかについて確認をさせていただきましたが、いかがでしたでしょうか。意外に簡単に認められるんだなと思われましたでしょうか。それとも、なんだか簡単には認められそうにないんだなと思われましたでしょうか。

正当防衛と一口に言っても、様々な場合が考えられます。こんな場合に正当防衛が成立するのかなど、日常のふとした疑問でも、お気軽に弁護士までご相談をいただければと思います。

(文責:弁護士 根來真一郎