こんにちは!! 弁護士の三井です。
このコーナーは、産業カウンセラーの皆様が押さえておくべき法律問題を、分かり易く解説する(ことを目標にしている)コーナーです。皆様の業務に少しでもお役に立てれば幸いです。
さて今回は、「近時労務管理で管理職が特に気をつけたいポイント」についてお話します。
最近、顧問先企業様で管理職向け研修を行う機会が増えています。
近時はハラスメントや過重労働の問題が大きくニュースなどで取り上げられており、管理職の方がそのキーパーソンであることに各企業様もお気づきなのでしょう。
1. ハラスメントについて
職場での典型的なハラスメント(セクハラ・パワハラ・マタハラなど)については、日頃、管理職の方達も発言等に気を付けていることと思います。
まだ中には「何かあったら責任は自分がとるから好きにやる!」という方も少しいらっしゃるかもしれませんが、仕事に関連してハラスメントをすれば、社内での責任はともかく、法律上は会社もその上司と一緒に損害賠償責任を負う可能性が高いことは改めて認識しなければなりません(「使用者責任」等の問題)。
また、自分が直接的な加害者ではなくても、例えば、部下から他の管理職のハラスメントに関する是正を求められたのにそれを放置したり、相談してきた被害者側をさらに傷つける言動をした場合などには、損害賠償責任を負う可能性があることにも注意が必要です。
2. 過重労働問題について
最近はハラスメント以上にこの問題が注目されています。実際に労働基準監督署など調査監督もより厳しくなってきています(悪質な一定のケースには社名の公表制度もあります)。
万が一、社内で過労死が起きれば、その遺族や会社が受けるダメージは計り知れません。
管理職(特に直属)はいわば会社の代わりに部下の管理をする立場ですから、部下の健康状態に配慮し、体調を悪化させるような過重労働をさせない法律上の注意義務があるのです。
部下の残業がやたら多い場合には、その原因を分析することが必要でしょう。例えば、その原因が①仕事への意識の問題か(ダラダラ残業・皆が帰らないので空気を読んでの残業など)、それとも②本人の仕事のやり方の問題か(計画不足・技術不足など)、はたまた③自分の部下への仕事の振り方の問題か(一人に業務が集中している場合など)を見極めたうえで、それぞれに応じた適切な対策をする必要があります。
3. 最後に
これらの問題において、管理職の方がキーパーソンであることは疑いないと思います(だからこそ、過労自殺等の事案で、直属の上司が加害者として会社と一緒に訴えられる事案があるのです)。
今一度、皆様の関与先企業様に周知徹底して頂き、皆様のお力でより働きやすい職場を作って頂けると幸いです。
(監修者:弁護士 三井伸容)