こんにちは!! 弁護士の三井です。

このコーナーは、産業カウンセラーの皆様が押さえておくべき法律問題を、分かり易く解説する(ことを目標にしている)コーナーです。皆様の業務に少しでもお役に立てれば幸いです。

さて今回は、「逆パワハラの脅威について」についてお話します。

最近、顧問先企業様から「対応に困る部下」についてのご相談をよく受けます。

お話を伺ってみると、いわば部下から上司への「パワハラ」とも評価すべき状況であることがあります。

1. 逆パワハラとは?

そもそも、パワハラとは、一般的に「同じ職場で働く者に対して、職場上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」と定義づけられることが多いです。

パワハラは「職場内の優位性」が前提ですので、通常は上司から部下へのものとイメージされます。 しかしながら、これが逆転しているのがいわゆる(?)「逆パワハラ」です。

程度問題ですので具体的な事情にもよりますが、適切な注意指導をしたにもかかわらず部下から全てパワハラだと騒がされたり、部下から無視されたりするケースなどがきかれます。

私はこの「逆パワハラ」という言葉を自分だけが思いついたものだと一瞬思ったのですが、実際はインターネット上で既に同じ言葉が蔓延しておりました。どうやら身近な問題として認識されているようです。

2. 逆パワハラの特徴とこわさ

そもそも、会社として、逆はともかく、部下による上司いじめはなかなか想定・対策がしづらいといえます。

また、上司自身がその悩みを誰かに相談したがらない傾向もあります(恥と感じたり、部下の管理能力を疑われると考えるようです。)。

せっかく勇気を出して相談しても「上司なんだからガツンと言えばよい。」などとアドバイスされてしまうこともあるでしょう。

加えて、中間管理職の方だと、問題行動が多い部下と、その言動を何とかしろと命じる上司との間で板挟みになることもあります。

このように逆パワハラは顕在化しにくく、知らない間に大変な事態に発展する可能性があります。

実際に部下からのいじめを苦に自殺した上司について労災が認められた事例もありますし、私自身も、過去、部下と上司との間での板挟み状態になった方のご相談を受けたことがあります(その後きちんとした対応がとれたので良かったですが、そのまま我慢を続けていたら大変な事態になっていたかもしれません)。

3. 最後に

「パワハラ対策」というと、どうしても一番立場が弱い若手社員ばかりに目を向けてしまいますが、専門家として、その陰に隠れているかもしれない「逆パワハラ」を見落とすことのないように心掛けたいものです。

(監修者:弁護士 三井伸容

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