Q. ネット上で当社を誹謗中傷する書き込みを先日見つけました。内容は事実ではありません。削除を希望しますが、匿名での書き込みのため相手がわかりません。どうすればよいですか?
A. 書き込みがあるサイトの管理者等に、書き込みの削除を依頼しましょう。そのサイトの管理者等が削除依頼に応じない場合、裁判所を通じて削除請求をする方法があります。
1. 誹謗中傷とは
誹謗中傷とは、根拠のない悪口や事実と違うことを言うなどして他人を傷つけたりする行為です。
例えば、①ネットの口コミで会社の悪口を書かれて困っている場合、②会社のサービスについて嘘の事実が書かれている場合、③求人サイトで会社の悪口を書かれて困っている場合、④SNSで会社のスタッフが誹謗中傷されている場合、⑤サイト上に会社の信用を損なうような迷惑動画がアップされている場合等があります。
ただし、たとえ書き込みが会社や個人に不利益な内容でも、虚偽の事実や不必要に他人を攻撃するような内容ではなく、提供されたサービスについて満足できなかったなど個人の感想にとどまるような内容の場合、表現の自由として法的な対応ができる誹謗中傷にはあたらないことが多いです。
現在の情報化社会では、インターネット上で情報を見た方が対象者に悪い印象を抱いたり、情報がネット上で拡散していくおそれがあるため、放置していると損害が拡大するおそれがあります。
2. 削除請求
インターネット上に匿名で書き込まれた誹謗中傷の内容や動画を削除したい場合は、まずはサイトの管理者等に削除依頼をしましょう。
掲示板等の作成者や管理人へ削除依頼のメールを送る方法、お問合せフォームに削除依頼を書き込む方法等、各サイトで指定の方法により削除依頼を行います。
削除依頼に管理者等が対応しない場合は、弁護士から再度削除依頼をしたり、裁判所に削除の仮処分を申し立てたりする方法があります。仮処分申し立ての場合、裁判所から削除の仮処分命令の発令を得て、書き込み等を削除します。
3. その他
誹謗中傷の書き込みを削除するだけでなく、匿名で書き込みをした相手を特定して損害賠償を請求することも選択肢の1つです。
書き込みをした相手を特定するには、サイト管理者等に対して開示依頼を行う方法やプロバイダ責任制限法等に基づき裁判所を通じて発信者情報開示請求等を行う方法などがあります。
また、インターネット上で誹謗中傷の書き込みをすると、名誉毀損罪や侮辱罪、業務妨害罪等になる可能性もあります。書き込みをした人の刑事処罰を警察に求めることも選択肢の1つです。
4. まとめ
本来、口コミ等は、情報を収集したい方にとっては有益な情報であることが多いです。
不利益な内容を書かれた企業にとっては改善のきっかけとなるものです。しかし、行き過ぎた誹謗中傷の場合、他人を不必要に傷つけてしまうなど適切とはいえません。
現在の情報化社会では、取引先から悪い印象を持たれてしまい取引に影響が出たり、人材を採用しようとしても求人サイトに虚偽の情報が書かれてしまったために採用に支障が生じたりなど、誹謗中傷の書き込み等は放置すると被害がより深刻化する可能性があります。
被害の拡大を早期に防ぐ意味でも、誹謗中傷の書き込みがなされた場合等は、早めに検討し対応することが必要です。
(文責:よつば総合法律事務所 弁護士 小林義和)
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