労働者が業務を原因として、怪我や病気になった場合、業務災害として労災保険の対象になる可能性があります。
また、労働者が職場に通勤する際に事故にあって怪我をした場合も通勤災害として労災保険の対象になる可能性があります。
上記のような労働災害に遭遇した場合、労災保険からは、療養(補償)給付、休業(補償)給付などを受け取ることが可能です。労災保険を受ける場合、労災指定病院等で診療を受ける、労災保険給付関係請求書に必要事項を記入する(会社側の記入欄もあります)、管轄の労働基準監督署に請求書を提出する、支給決定通知・支払などの流れになります。
それでは、会社が、事業主証明欄への記載を拒否するなど労災保険金請求に対して協力してくれない場合、労働者はどのような対応がとれるのでしょうか。
大前提として、会社には労働災害が発生した場合は、それを所轄の労働基準監督署に報告することが義務付けられています。
労災事故の発生を隠蔽したり、虚偽の報告を行うことは刑事罰の対象になりえます。そのため、労災事故が発生した場合、会社は最大限労災保険の請求に向けて労働者に協力するべきです。
しかし、それでも、会社が労災保険金請求に協力してくれないケースもあります。
このようなケースでは、労働基準監督署と相談しながら、会社に労災の証明をしてもらえなかった理由等を説明すれば、事業主の記載がなくても請求を受け付けてくれる可能性が高いです。
労働災害の発生について、会社に落ち度があるケースでは、労災保険金請求でカバーされていない損害の賠償を後日会社に請求できることもあります。
【参考】
労働安全衛生規則
(労働者死傷病報告)
第九十七条 事業者は、労働者が労働災害その他就業中又は事業場内若しくはその附属建設物内における負傷、窒息又は急性中毒により死亡し、又は休業したときは、遅滞なく、様式第二十三号による報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
2 前項の場合において、休業の日数が四日に満たないときは、事業者は、同項の規定にかかわらず、一月から三月まで、四月から六月まで、七月から九月まで及び十月から十二月までの期間における当該事実について、様式第二十四号による報告書をそれぞれの期間における最後の月の翌月末日までに、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
(監修者:弁護士 辻悠祐)