不況が続く中、売掛金の回収が困難となると会社経営自体を揺るがしかねません。 今月号では、債権回収の6つの方法についてご説明します。

1. 取引先に電話・面談して催促する

債権や売掛金が回収できない場合、多くの会社では弁護士に相談する以前に、自社で電話や面談による催促を行っておられるものと思われます。

電話・面談をする場合であったとしても、ただ電話をするのではなく、支払時期・支払条件を変更する代わりに連帯保証人を要求する、担保(抵当権)を要求する等の交渉をすることが望ましいです。

また、支払い期限の延長に応じる場合も1ヶ月単位での延長には応じず、1週間単位の延長のみを応じる等、だらだら交渉が長期化しないような対策が必要です。

 

2. 内容証明郵便で催促・督促する

弁護士に依頼しなくても、自ら、売掛金等を請求する内容の内容証明う郵便を作成してこれを相手方に送付することが出来ます。

内容証明郵便とは、郵便局が文書の内容・相手への到達目的を証明する郵便です。一般には裁判の前段階で郵送する書類と考えられていますので、内容証明郵便を送付した場合、相手に対する心理的な圧迫効果があることがあります。
実際、内容証明郵便には、「期限内に支払われなければ法的措置を講じる」と明記することが多いと思われますので、相手は「支払わざるを得ないな」と思う可能性が高くなるのです。

3. 民事調停手続をする

調停は、裁判所を利用する手続きですが、弁護士を立てずに、自らの調停の申立を行うことも可能です。

民事調停という方法は相手が裁判所に出席しなければ合意が成立しません。

ただし、手続きが正式な裁判に比べて簡単ですし、裁判所から相手に調停を起こされた旨の書類が届きますので、一定の確率で相手が支払に応じる可能性もあります。

なお、民事調停手続きで合意した内容は正式な裁判と同一の効力がありますので、相手が支払をしない場合には裁判所を利用した差押(土地建物・売掛金・預金等)の手続きをすることができます。

4. 支払い督促手続きをする

支払督促手続とは、「支払督促」という書類を裁判所から相手方に送付し、相手方の反論が無ければ「支払い督促」に記載された債権を公的に認めて貰うことができるという制度です。

しかし、相手方が異議を申し出た場合には、「支払督促」は効力を失ってしまいます。

相手に意義がなければ書類上のやりとりだけで裁判所の正式な判決と同様の効果を得ることができることとなります。

5. 少額訴訟手続

少額訴訟手続とは、60万円以下の金銭の支払を請求する訴訟を提起する際に求めることができる特別な訴訟手続で、還俗として審理を1回のみで終わらせてただちに判決を行う手続きです。

1回で終わりますので、裁判が長引くということはあまりありません。

ただし、少額訴訟は、相手方が応じず通常訴訟への移行を求めた場合には、通常訴訟へ移行されてしまいますので、時間を浪費するおそれがあります。

6. 訴訟手続

訴訟手続は、債権・売掛金を回収する方法としては一番の正攻法です。

訴訟手続きについては時間がかかるというイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、実は第1回目の裁判期日終了後ただちに判決が出るケースが非常に多いのです。

また、相手方が裁判期日に出頭した場合でも、事実関係を争うことなく「一括では支払えないので、分割払いにして欲しい。」等と和解の申し入れをしてくるケースも多く、直ちに判決とはいかないにしても、裁判上の和解交渉がまとまらないときはいつでも和解交渉を打ち切って、早期に判決を貰うことができます。

以上のように、債権回収の方法には様々な方法があります。また、そもそも、債権回収のために法的な手続きを利用しなければならないということは、それだけで人的負担・物的負担が会社にかかります、

売掛金の管理体制を整え、少しでも入金が遅れたらその都度督促をすることや、返済条件を相手に有利に変更する場合には連帯保証人・担保を取得するなどの方法を徹底したいものです。

会社経営凡事徹底、細かい事の積み重ねです。売掛金の管理・回収の体制をしっかり整えたいものです。

(監修者:弁護士 大澤一郎

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