日常業務での従業員トラブルについて
1. 大事とは必ずしもいえなくても頭の痛い問題ありませんか?
おそらく、従業員のことでお困りごとがない経営者の方はそうそういないのではないでしょうか?
「弁護士に相談に行く」となると、従業員側に弁護士が入って残業代の請求をされた場合、労災事故が起きた場合、労働組合から団体交渉を申し入れられた場合など、日常からすると少しイレギュラーな問題が起きた場合が多いようです。実際に当事務所でご相談を受ける場合も、上記のような問題が起きた場合のご相談が多い印象です。
しかしながら、日常的な問題もあるはずです。
例えば、「ミスが多い従業員に対してどう対応するか。」「不必要な残業をやめてくれない従業員がいて困っている。」「社内でパワハラやセクハラのうわさがあり、どうやら確かな情報らしいが、どう手を打ったらよいのか。」「職務の適正に問題があり、部署変更をしたい従業員がいるが頑なに異動に応じてくれない。」「金額は少ないものの、従業員が使ってない電車代分の交通費を不正に請求しているようだ。」「報告して来る数字に不自然な点があり、横領が疑われる従業員がいる。」などなど、トラブルがあまり表に出てきていない、若しくはあまり大きくはなっていない状態であっても、経営者として頭が痛い問題はたくさんあるはずです。
2. 日常的な問題こそ気軽にご相談できる環境を
相手に弁護士がついたり、裁判を起こされたり、トラブルが表立って大きくなってからそれを解決するのも当然弁護士の仕事ですが、上記のような日常的な問題も是非弁護士などの専門家に相談してください。
そうすることで、経験上、より問題が大きくなることが事前に防げたり、問題を起こす従業員に適切な対応をとることで社内の人間関係が改善されたり(特にハラスメントの事案等でみられます。)することがあります。また、本業以外の従業員に関するトラブル対応に忙殺されていた経営者や役職者の方が、弁護士のアドバイスが入ることで「対応に悩んだり、調べたりする時間が削減」出来たり、「自信をもって対応」できることもあります。この場合、本業に集中出来る環境が整い、トラブル対応で精神的に追い詰められていた心理的な負担を軽減する効果があります(特に中小企業の場合には、一部の役職者だけに問題従業員の対応がまかされてしまい、周りのフォロー体制が不十分なことも多いので、他の人が気付かないところで我慢して苦しんでいる役職者の方がいらっしゃると思います)。
上記のようなプラス効果は必ずしも無視できないと思います。
是非、日常的な問題についても、弁護士などの各種専門家にご相談頂けると幸いです。
日常業務での従業員トラブル解決方法
1. 日常業務における従業員とのトラブル
日常業務における従業員とのトラブルは多種多様です。
いくつか例を挙げてみても、勤怠の不良(遅刻、早退等)、協調性の不足、能力の不足、業務命令や社内ルールの違反、ハラスメント、メンタルヘルスの問題、私生活上の問題行動など様々です。
2. 対応を誤って後々後悔することも・・・
このようなトラブルについて、程度にもよりますが、中には「弁護士に相談するような大事ではない。」と考えてしまう方がいます。確かに、費用対効果を考えるのは重要なことですので、ケースバイケースでそのような考えに至ることも十分合理的だと思います。
しかしながら、従業員トラブルは、見立てを誤って漫然と対応すると、大きな問題になってしまうことがありますので注意が必要です。
例えば、ハラスメントの問題やメンタルヘルスの問題は、労災や損害賠償請求に波及する可能性があるため、とても慎重な対応が必要な問題です。
また、このような日常のトラブルに対する適切な対応を怠ってしまい、以下のようなかたちで後悔することもあります。
例えば、勤怠不良、協調性不足、能力不足、業務命令違反等の問題について、会社としては日頃から気になってはいたものの、限界まで我慢してしまうケースがよくあります。そして、ついに我慢の限界がきてしまい勢いで解雇をしてしまったり、また「これからすぐ解雇をしたい。」と弁護士などの専門家へご相談される場合もよくあります。
しかしながら、このような問題を抱えた従業員に対する解雇を法律上有効に行うためには、日頃の問題行動の記録や、それに対する注意指導の積み重ねがあるかどうかが重要になる場合が多いのです。そのため、これまで我慢して何もしてこなかったことがかえって不利に働いてしまったり、きちんと注意指導していた場合でもその記録をとっておらず、そのような注意指導が証明できなくなってしまうことも多いです。
3. 日常業務トラブルの対応の難しさ
いくつか例を挙げてみても、勤怠の不良(遅刻、早退等)、協調性の不足、能力の不足、業務命令や社内ルールの違反、ハラスメント、メンタルヘルスの問題、私生活上の問題行動
皆様がご自身の本業の中で一般人にはわからないトラブルの予兆がわかるのと同じように、弁護士など、日頃からトラブル対応の仕事をしている専門家の場合には、どういう場合にトラブルが発生し、そして、それがより大きくなるのかが予測できる場合があります。
また、日常業務のトラブルへの対応方法には幅があることが多く、必ずしも弁護士から教えてもらうようなアドバイスでなくても、ひとまず対応できる場合があります。その、その場しのぎで対応して放置してしまったり、数ある手段の中から気づかず不適切な対応をとってしまうことがあります。
現代はインターネットを見れば、ある程度自分で対応方法を調べることもできますので、それで事足りることも実際にはあるとは思います。しかしながら、インターネット上の情報は一般論に終始していて肝心なところが具体的に書いていないこともあるため、現場の経営者や人事担当者が日々判断に迷う場面もあると思います。
4. 解決するのに必ずしも弁護士が表に出て対応しなくても良い
また、日常のトラブルに対する対応は、弁護士が前に出ずにあくまでも影でのサポートに徹することも多く、そのような方法が適している場合も多いです。
なぜなら、まだ在籍中の社員に対して、いきなり弁護士を立てて対応することは、相手の感情を不必要に害して問題をこじらせることもあり、また他の社員に心理的な影響を与えたり、会社への悪印象を持たれたりすることがあるためです。
弁護士が表に出ずに社内で問題に対応していくことには他にも良い面もあります。ご相談があった際、弁護士からは具体的な対応方法のアドバイスをした上で、使用する書式などをお渡しすることになるのが通常ですので、社内に問題対応のツールやノウハウが少しずつ蓄積することになります。そのような機会を生かして頂ければ、今後は弁護士の関与なくとも迅速に対応ができたり、ちょっとした問題の芽にいち早く気づいて対応できるようになることがあります。また、弁護士が関与する前に取り返しのつかないミスをしてしまうことも減ると思います。
こういった日常的な問題の対応は、弁護士などの専門家からアドバイスがもらいやすい環境が整っていることが重要ですので、弁護士に依頼する場合には是非顧問弁護士を検討されると良いと思います。