「納品したのに代金が支払われない」

「何度催促しても音沙汰がない」

そんな取引先や顧客の未払いに頭を抱えていませんか?企業にとって、売掛金や貸付金の未回収は経営の大きなリスクです。

とはいえ、いきなり裁判を起こすのはハードルが高いと感じる方も多いでしょう。

そんなときに活用できるのが「支払督促」という法的手続きです。

裁判所を通じて支払いを求める方法でありながら、通常訴訟よりも簡単・迅速・低コストで進められるのが大きな特徴です。

本記事では、「支払督促とは何か?」という基本から、手続きの流れ、活用のメリット・デメリット、よくある注意点までをわかりやすく解説します。

また、支払督促を含む債権回収を弁護士に相談・依頼する際のポイントやメリットについても詳しくご紹介します。

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1. 支払督促とは?

「支払督促」とは、代金の未払いなどがある相手に対して、裁判所を通じて正式に支払いを求める手続きです。

商品を販売したのに代金が支払われない場合や、貸した金銭が返済されない場合、さらに損害賠償を請求したい場合などに利用されます。

名称だけを見ると「ただの催促」に聞こえるかもしれませんが、支払督促は法律に基づいた正式な制度であり、民事訴訟法という法律にルールが定められています。手続きは簡易裁判所を通じて行われます。

1.1 支払督促の基礎知識

支払督促は、通常の民事裁判とは異なり、裁判所に出頭することなく、書類のやり取りだけで進行する手続きです。そのため、迅速かつ比較的簡易に債権回収を図る手段として利用されています。

申立ては、相手方(債務者)の住所を管轄する簡易裁判所に対して行います。必要書類は郵送で提出できるほか、インターネットを利用したオンライン申請(e申立て)にも対応しています。

この制度が利用できるのは、金銭の支払いや、有価証券(手形・小切手など)の引き渡しを求める場合に限られます。たとえば、不動産や動産の返還請求、契約の履行(行動)を求めるような請求には使えません。

相手方に支払督促が届いたあと、2週間以内に異議が出されなければ、申立人は仮執行の申立てを行うことができ、給与や預金口座などを差し押さえる強制執行へと進むことが可能になります。

ただし、相手方から異議が出された場合は、その時点で通常の民事訴訟手続きに移行します。したがって、あらかじめ相手が争ってくることが予想される場合は、はじめから訴訟を選択するほうが適切なケースもあります。

1.2 他の手続(少額訴訟、通常訴訟)との違い

金銭を回収する方法は支払督促だけではありません。ほかにも「少額訴訟」や「通常訴訟」などがあります。

① 少額訴訟

少額訴訟は、60万円以下のお金を請求したいときに使える特別な裁判です。

支払督促は書類だけで進みますが、少額訴訟は実際に裁判所へ行って話をする必要があります。

この裁判は、原則として1回で終わるのが特徴です。その場で判決が出ることが多く、時間もあまりかかりません。

また、裁判所は相手の支払い能力などを考えて、分割払いや支払猶予を認めてくれることもあります。

ただし、1年に10回までという利用制限がある点には注意が必要です。

② 通常訴訟

通常訴訟は、金額の制限がなく、誰でも使える一番しっかりした裁判の方法です。

証拠を出したり、複数回にわたって裁判が開かれたりするため、時間と手間がかかるのが特徴です。

訴状や書類をしっかり準備しなければならないため、多くの人は弁護士に依頼しています。

支払督促・少額訴訟・通常訴訟の違いは次のとおりです。

支払督促

金額の上限:なし
裁判所に行く回数:原則不要
回数制限:なし
手続きの特徴:書類だけで進み、相手が異議を出すと通常訴訟に移行する

少額訴訟

金額の上限:60万円まで
裁判所に行く回数:必要(1回)
回数制限:年10回まで
手続きの特徴:1回で判決が出る。分割払いや猶予が認められる場合がある

通常訴訟

金額の上限:なし
裁判所に行く回数:必要(複数回)
回数制限:なし
手続きの特徴:本格的な裁判のため時間・手間・費用がかかることが多い

このように、それぞれの手続きにはメリットと注意点があります。

どの手続きを利用すべきかは、請求したい金額や相手の対応によって変わります。迷ったときは、弁護士に相談することをおすすめします。

2. 支払督促の手続きの流れ

では、実際に支払督促の手続きの流れを見ていきましょう。5つのステップに分けて、順番に分かりやすく解説します。

2.1 支払督促の申立て

まずは、支払督促を始めるために「支払督促申立書」という書類を作成します。

支払督促申立書には、「いつ」「だれに」「いくら支払ってほしいか」などを記載します。

提出先は、「相手の住所を管轄している簡易裁判所」です。

申立ての方法は、次の2つから選べます。

  • 郵送で送る
  • インターネット(オンライン)で申し込む

2.2 支払督促の発付と送達

裁判所が書類をチェックして問題がなければ、「支払督促」の通知が作成されます。この通知は、裁判所から相手に直接送られます。これを「送達」といいます。

相手が支払督促の通知を受け取ったあと、すぐにお金を支払ってくれれば、そこで解決となります。しかし、支払いも連絡もない場合は、次の手続きに進みます。

2.3 相手方の異議申立て

相手には、「支払いたくない」「内容に納得できない」と思った場合、2週間以内に異議を申し立てる権利があります。

異議が出されると、支払督促の手続きは終わり、通常の裁判(訴訟)に移ることが多いです。このときは、原告(債権者)も被告(債務者)も法廷で主張し合い、証拠も出しながら話を進めることになります。

2.4 仮執行宣言の申立て

相手に支払督促が届いたあと、2週間たっても何の連絡もなく、お金も払ってこない場合には、次のステップに進みます。

債権者は、裁判所に「仮執行宣言」を申し立てることができます。仮執行宣言とは、相手の財産を差し押さえるための準備段階です。

まだ相手が裁判で争ってくる可能性があるため、完全に決まったわけではありません。そのため「とりあえず執行をしてもいい」という意味で、「仮」という言葉がついています。

具体的には、「仮執行宣言申立書」を裁判所に提出します。

もしあとから相手が異議を出した場合には、仮執行の効力が止まったり、差押の結果を元に戻す必要が出ることもあります。

この仮執行宣言が認められると、裁判所は「仮執行宣言付きの支払督促」を作成し、再び相手に送ります。

相手がそれを受け取ってから2週間が過ぎると、いよいよ次のステップである強制執行に進むことができます。

2.5 強制執行の申立て

仮執行宣言付きの通知が相手に届いてから2週間が過ぎても何も反応がなければ、その支払督促は「確定」します。

そうなると、いよいよ「強制執行」という手続きに進むことができます。

強制執行とは、裁判所の力を使って、強制的にお金を回収する制度です。たとえば、相手の銀行口座からお金を差し押さえたり、給料の一部を取り立てたりすることができます。

ただし、勝手にやるのではなく、裁判所に「強制執行をしたい」という申立てをしなければなりません。

申立ての際には、差し押さえる財産がどこにあるかなどの情報(たとえば銀行名や勤務先など)も必要になります。

また、強制執行には手数料もかかります。それでも、相手がどうしても支払ってくれないときには、とても効果的な方法です。

つまり、支払督促から始まった流れの最後に、本当にお金を回収できるかどうかを決める重要なステップが、この強制執行なのです。

なお、支払督促の手続きの詳細については、以下も併せてご確認ください。

3. 支払督促のメリット

ここでは、支払督促を使うときに得られる2つの大きなメリットをご紹介します。

3.1 手続きが簡単

支払督促の大きな特徴は、とても簡単な手続きで使えることです。

まず、裁判のように「訴状」という複雑な書類をつくる必要はありません。かわりに、簡単な「申立書」を提出するだけでOKです。

また、この手続きはすべて書面だけで進みます。裁判所に行って話し合ったり、証拠を集めて提出したりする必要もありません。

相手が支払督促を受け取ってから2週間以内に異議を出さなければ、仮執行の申立てに進めます。

このように、準備がシンプルなところが、支払督促の大きな魅力です。

3.2 迅速な解決や強制執行の可能性

もうひとつのメリットは、スピード感と最終的な効果の強さです。

普通の民事裁判だと、早くても半年から1年ほどかかることが多いですが、支払督促なら、うまくいけば1.5〜3か月ほどで財産の差し押さえ(強制執行)の申し立てまで進めることができます。

しかも、相手が異議を出さずに手続きが確定すれば、支払督促は裁判で勝ったのと同じ効果を持ちます。

つまり、簡単な手続きにもかかわらず、「相手の財産を差し押さえる力」をしっかり持っているのです。

さらに、手続きにかかる費用も魅力です。支払督促は、普通の裁判と比べて申立ての費用が約半分に抑えられています。

異議が出て裁判に移る場合は、追加で費用がかかりますが、まずは少ない費用でスタートできるのも支払督促のメリットです。

4. 支払督促のデメリット

支払督促は、手軽でスピーディーに使える便利な制度ですが、注意すべきポイントもあります。

ここでは、特に見落とされがちな2つの大きなデメリットについて紹介します。

4.1 異議申立てで通常訴訟へ移行する

支払督促は、相手が2週間以内に異議を出さなければそのまま確定し、強制執行まで進めることができます。

しかし、相手には特別な理由がなくても異議を出す権利があります。

たとえば「今は払えない」など、内容に関係のない理由でも異議を出すことは可能です。

たった一言「異議あり」と伝えるだけで手続きが止まり、通常の民事裁判に切り替わってしまうのです。

こうなると、もともとの「簡単で早い」という支払督促のメリットはなくなってしまいます。

むしろ、最初から訴訟を起こした方がスムーズだった、というケースも少なくありません。さらに、支払督促は書類審査だけで進むため、証拠がなくても始められます。

しかし、異議が出て訴訟になると、証拠が必要になります。そのため、「証拠がそろっていないのに勢いで申し立てる」のは、逆にリスクになることもあります。

4.2 通常訴訟は相手方の住所地での裁判になる

もう一つの大きな落とし穴は、「どこで裁判が行われるか」という点です。

支払督促は、相手の住所地を管轄する簡易裁判所に申し立てるという決まりがあります。

そのため、相手が異議を出して訴訟になった場合も、そのまま相手の地元の裁判所で裁判が行われることになります。

もし相手が遠方に住んでいると、裁判のたびに出張しなければなりません。交通費も時間もかかり、大きな負担になります。

5. 債権回収を弁護士に依頼するメリット

「お金を払ってくれない相手に、どう対応すればいいのかわからない」

そんなときに力になってくれるのが、法律の専門家である弁護士です。

ここでは、債権回収を弁護士に頼むことでどんなメリットがあるのかを紹介します。

5.1 支払督促を含めて適切な手段を選択できる

金銭を回収する方法には、状況に応じてさまざまな手段があります。

たとえば、次のような対応が考えられます。

  • 内容証明郵便で催促する
  • 支払督促を申し立てる
  • 訴訟を起こす
  • 相手の財産を差し押さえる

どの手段が適切かは、相手方の反応や支払能力、債権額、時間的制約などによって異なります。

弁護士は、相手の対応や金額、時間の制約などをふまえて、最適な方法を見きわめることができます。

5.2 異議申立や通常訴訟に移行時の対応も可能

支払督促を出しても、相手が異議を申し立ててくることがあります。その場合は、通常の裁判に移ることになります。

裁判になると、書類の作成や証拠の準備、裁判所でのやり取りなど、専門的な対応が必要になります。

これを自分ひとりで行うのはとても大変です。

しかし、弁護士に依頼していれば、異議が出た後もスムーズに対応してもらえます。

裁判の経験が豊富な弁護士であれば、どんな主張をすれば有利になるか、どう証拠をそろえるかといったことも、しっかりサポートしてくれます。

5.3 財産調査や強制執行の手続がスムーズ

裁判に勝っても、相手が自分からお金を払ってくれるとは限りません。

その場合には「強制執行」といって、相手の財産を差し押さえて回収する手続きが必要になります。

しかし、相手の財産がどこにあるのかわからないと、強制執行はできません。

弁護士であれば、銀行口座や勤務先などを調べるための法的手続きが使えます。必要に応じて、預金や給料などを差し押さえる準備も行うことができます。

また、弁護士は裁判所への申立ても慣れているので、面倒な書類の作成や手続きも任せることができ、スムーズに進められます。

6. 支払督促の注意点

支払督促は手軽でスピーディーな制度ですが、注意すべき点もあります。対応を間違えると、不利な結果になってしまうこともあります。

ここでは、特に気をつけたい「時効との関係」と「仮執行宣言の期限」について説明します。

6.1 支払督促と時効

支払督促を申し立てる際に、まず気をつけたいのが「時効」です。

たとえば、貸金や売掛金などの請求には、原則5年の時効があります。この期間が過ぎると、相手が「時効だから払わない」と主張することで、回収ができなくなる可能性があります。

しかし、時効が完成する前に支払督促を申し立てれば、その時点で時効の進行が原則として止まります。

さらに、支払督促が確定すれば、時効はリセットされて再びゼロからカウントされます。これは、債権者にとって大きなメリットです。

ただし、時効がすでに過ぎている債権に対して支払督促を申し立てた場合、相手が異議を出して「時効だ」と主張してくれば、支払督促は取り消される可能性があります。

つまり、支払督促を出す前に、その債権が時効になっていないかの確認がとても重要です。特に、長く連絡が取れていない相手に対しては、時効のチェックを忘れないようにしましょう。

6.2 仮執行宣言の申立の期間制限

支払督促が相手に届いたあと、2週間以内に異議がなければ、「仮執行宣言」を申し立てることができます。この宣言があれば、相手の銀行口座や給与の差押えなど、強制執行に進むことが可能になります。

ただし、この仮執行の申立てには30日以内という期限があります。この期限を過ぎてしまうと、せっかくの支払督促が効力を失ってしまいます。

さらに、この30日間のあいだも、相手はいつでも異議を出せるため、早めの対応が大切です。異議が出なかったとしても安心せず、期限内に速やかに仮執行を申し立てるようにしましょう。

※以下のコンテンツは左右にスワイプしてご確認ください。

最初の2週間異議申立ての期間
その後30日以内仮執行宣言の申立て期限

7. 支払督促のよくあるご質問

ここでは、支払督促に関するよくあるご質問にお答えしています。手続きを行う際の参考にしてみてください。

7.1 支払督促の手続きにかかる期間は?

早ければ約1か月半、遅いと2〜3か月ほどかかるのが一般的です。

まず、裁判所に支払督促を申し立ててから、実際に書類が出されるまでに1〜2週間ほどかかります。

その後、相手に支払督促が届いてから2週間は待つ必要があります。この間、相手には異議を申し立てる権利があるからです。

相手が異議を出さなければ、次は「仮執行宣言」という手続きを行います。これは、相手の財産を差し押さえるために必要なステップです。

仮執行の申立ては、2週間が過ぎてから30日以内に行う必要があります。申立てが受け付けられると、裁判所が「仮執行宣言付き支払督促」を作成し、それを相手に送ります。

さらに、相手がそれを受け取ってからもう2週間待てば、強制執行が可能になります。

以上の流れを合計すると、最短でも6週間ほど、タイミングによっては2〜3か月かかることもあります。

つまり、支払督促は訴訟よりは早いですが、すぐに差押えができるわけではありません。進行をスムーズにするためには、各ステップですばやく対応することが大切です。

7.2 自分で支払督促を申し立てる場合の費用は?

支払督促にかかる費用は、請求金額によって異なります。

① 申立て時にかかる費用

まずは、支払督促を申し立てるときの費用です。裁判所には「収入印紙代」という形で手数料を納めます。

請求する金額によって、金額が変わります。

※以下のコンテンツは左右にスワイプしてご確認ください。

請求金額手数料(収入印紙)
100万円以下10万円ごとに500円
100万円超〜500万円以下20万円ごとに500円
500万円超〜1,000万円以下50万円ごとに1,000円
1,000万円超〜10億円以下100万円ごとに1,500円
10億円超〜50億円以下500万円ごとに5,000円
50億円超1,000万円ごとに5,000円

たとえば、30万円を請求する場合は 1,500円(500円×3)が必要になります。

② 仮執行宣言の申立てにかかる費用

支払督促が相手に届いてから2週間、相手が異議を出さなければ、仮執行宣言の申立てができます。この手続きのときにも「郵券(切手)」代が必要です。

目安は次のとおりです。

  • 債権者(申し立てる人)用:140円
  • 債務者(相手)用:1,250円+85円×人数

なお、仮執行の申立ては支払督促が届いてから30日以内にしなければなりません。これを忘れると、せっかく出した支払督促が無効になってしまうので注意しましょう。

③ 相手が異議を出した場合の費用

もし相手が督促に異議を申し立ててきた場合、手続きは通常の裁判に変わります。このとき、あなたは「訴訟に進む」か「手続きをやめる」か選ばなければなりません。

手続きをやめるなら、費用はかかりません。通常訴訟に進むなら、郵券代などで約6,000円がかかります。追加の印紙代も請求額に応じてかかります。

7.3 どのような場合に支払督促を活用すべき?

支払督促は、相手にお金を払ってもらいたいときに使える便利な制度です。しかし、どんな場面でも使えるとは限りません。

次のような条件がそろっている場合は、支払督促が特に有効です。

① 相手に反論の余地がないとき

こちらの請求内容が正しく、約束や契約にもとづいたものであるなら、支払督促は効果を発揮しやすいです。たとえば、商品を納品したのに代金が支払われていないといったケースなどです。

こういった場合、相手としては異議を出しにくいため、手続きがスムーズに進む可能性が高くなります。

逆に、「商品の内容が違っていた」「支払う条件を満たしていない」など、相手が反論してくる可能性がある場合は、支払督促をしてもすぐに異議を出され、結局裁判になるかもしれません。

争いが起きそうなケースでは、最初から訴訟を検討した方がいいこともあります。

② お金の支払いを求めるとき(=金銭債権)

支払督促は、「お金を払ってください」という内容の請求にしか使えません。

たとえば、次のような請求に向いています。

  • 売掛金や貸金
  • 損害賠償金
  • 家賃の未払い

反対に、「物を返せ」「建物を明け渡してほしい」などの請求は、支払督促では扱えません。あくまで金銭の請求のみが対象になります。

③ 相手の住所がはっきりしているとき

支払督促をするには、相手の正確な住所が必要です。裁判所は、その住所に対して書類を送るからです。

もし相手が引っ越していて住所が不明な場合、支払督促は利用できません。そのような場合には、「公示送達」が使える通常の訴訟を考えることになります。

7.4 支払督促を申し立てられたら、どのように対応すべき?

これまでは、支払督促を申し立てる側の対応について解説してきましたが、反対に、自分のもとに支払督促が届いた場合には、決して放置してはいけません。

何の対応もしないまま2週間が経過すると、「請求に異議がない」とみなされ、そのまま相手方から仮執行の申立てをされる可能性があります。

そうなれば、給与や預金口座などが差し押さえられるおそれもあります。

請求内容に納得できない場合や、借金の存在自体に心当たりがない場合は、届いた日から2週間以内に「異議申立書」を裁判所に出すことで、手続きの進行を止められます。

異議の理由は、たとえば 「全く知らない請求である」「返済は認めるが分割を希望する」「時効が成立している」など、簡単なもので大丈夫です。

8. 支払督促を含め、債権回収は弁護士に相談

支払督促は、未払い債権を回収するうえで非常に便利な制度です。

ですが、相手が異議を出した場合は裁判に移行したり、仮執行の申立てをうっかり忘れて効力が失われたりと、注意すべき点も多くあります。

さらに、相手の財産情報がなければ、たとえ支払督促が確定しても差押えに至らないケースも少なくありません。

こうした手続きの不安やリスクを減らすためにも、支払督促を含む債権回収は、早い段階で弁護士に相談するのがおすすめです。

特に法人間取引では、契約内容や過去のやりとりが複雑になりがちです。

自社だけで解決しようとすると、相手の法的主張に対抗できず、かえって時間とコストがかかるリスクもあります。

支払督促をはじめとする債権回収手続きは、スピードと正確さが結果を大きく左右します。

回収が滞っている、または支払督促を検討しているという段階であっても、弁護士に相談することで、より確実な対応が可能となります。

よつば総合法律事務所では、債権回収に豊富な実績を持つ弁護士が、企業の未回収債権に対して戦略的かつ迅速に対応しています。

「いつ、どの手段で、どう動くか?」という点から最適な回収プランをご提案しますので、まずはお気軽にご相談ください。

監修者:弁護士 加藤貴紀

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