株主総会の決議に法令違反や取消事由がある場合は、無効や不存在になります
株主総会の決議において法令違反や取消事由がある場合は、無効となったり取消しとなったりすることがあります。
株主総会の決議には、
- 取消しの訴え(会社法第831条)
- 無効確認の訴え(会社法第830条第2項)
- 不存在確認の訴え(会社法第830条第1項)
の3つが認められています。
株主総会決議取消しの訴え
株主総会決議に以下のような取消事由がある場合は、取消しの訴えをすることができます。
- 招集方法や決議方法に法令・定款違反があったため不公平な決議になった場合
- 決議の内容そのものが定款に違反している場合
- 特別利害関係者による議決権行使によって不公平な決議になった場合
上記のような総会決議があった場合、ただちに取消しとなるわけではなく、法的安定性を維持するためにその決議は一応有効となります。そして取消判決が確定すれば、株主総会の決議があった日に遡って総会決議が無効になります。
総会決議の取消しは、株主総会の決議があった日から3ヶ月以内に提訴することができます(会社法第831条第1項)。提訴できる人は、株主、取締役、監査役、清算人となっています。自分にとって不公平な決議でなくても他の株主にとって不公平な決議であれば、取消しの訴えをすることができます。
株主総会決議無効確認の訴え
株主総会決議内容が法令違反となっている場合に、無効確認の訴えをすることができます(会社法第830条第2項)。先ほどの取消しの訴えでは「定款に違反している」場合なのに対し、無効確認の訴えでは「法令に違反している」場合の訴えとなります。
法令に違反していれば、判決が確定するまでもなく当然に無効となります。提訴期間の定めや提訴権者の制限もなく、いつでも誰でも、決議内容の法令違反に対して無効確認の訴えをすることができます。
ただし、総会決議の動機や目的が公序良俗に反していたとしても、総会決議の内容そのものが法令違反となっていない場合は無効とはなりません。
株主総会決議不存在確認の訴え
以下のような場合に、株主総会決議不存在確認の訴えをすることができます(会社法第830条第1項)。
- 総会決議が物理的に存在しない場合
- 総会決議が法的に存在すると認められない場合
- 招集通知が著しく漏れている場合
上記のような場合はもともと株主総会決議が存在していないため、無効確認の訴えと同様にいつでも誰でも主張することができます。
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