株主間紛争は、経営に重大な影響を与える問題です。
お早目にご相談ください。

会社の経営支配権をめぐって株主間で紛争が起こることがあります。経営支配権の紛争は、様々な法的な手続を使って繰り広げられます。新株発行の差止請求、新株発行の無効・不存在確認の訴え及び役員の選解任の決議の効力を争う訴えなどが起こされ、紛争は深刻な状況を呈します。

このような株主間紛争が生じた場合には、迅速に的確な法的手段を講じなければいけません。また、このような株主間紛争が生じないためにも、事前に防衛策を講じておくことが重要です。株主間紛争の予防、対処をする際には会社法に精通した弁護士に相談することが必要になってきます。

1. 少数株主の権利は?

少数派の株主が会社経営に参加するためにとれる法的な手段としては、以下のものが考えられます。

  1. 株主総会の招集請求(会社法297条)
  2. 株主総会の議題提案権(303、305条)
  3. 会計帳簿閲覧請求権(433条)
  4. 役員の選解任請求(854条)
  5. 株主代表訴訟(847条)

株主は、法律が定める一定の割合又は数量の株式を保有している場合には、上記のような権利が認められます。法律が定める一定割合は、議決権数ないし発行済株式総数の1~3%程度であり、それほど厳しいものではありません。

2. 株式の取得によって会社支配権を拡大する方法は?

(1)株主から株式を譲り受ける方法

当事務所企業法務サイトの株式譲渡のページで解説した株式の譲渡の方法によって行うことができます。既存の株主が保有する株式を取得することによって、会社支配権を拡大することができます。

(2)会社から募集株式の発行等を受ける方法

定款で定める発行可能株式総数の限度であれば、取締役会決議によって募集株式の発行等ができます。この方法により、株式を取得して会社支配権を拡大することができます。

3. 少数株式の買取り

多数派株主が、少数派株主の株式を強制的に譲渡させることができる場合もあります(これを、スクイーズアウトといいます)。平成26年の会社法改正により、直接または100%子会社を通じて間接的に議決権の90%以上の株式を保有する特別な多数派株主は、少数派株主に対して対価を提示したうえで株式売渡請求ができます。

対価に不満のある少数派株主は、裁判所に対して価格決定申立てをして、適正な代金額を裁判所に決定するよう求めていきます。

90%には足りないが3分の2以上を保有している多数株主であれば、株式併合定款変更により全部取得条項付種類株式に転換することによって少数派株主の排除を実現することができます。

ex.) 少数派株主が9株しか保有していないときには、10株を1株に株式を併合すれば、少数派株主の株式は1株未満の単元未満株となってしまい、株主たる地位を失ってしまいます(端数は金銭処理されます)。このようにして、少数派株主の保有する株式を消滅させることができるのです。
 

4. 組織再編を用いた株主の締め出し―合併、株式交換

(1)合併を用いた締め出し

合併とは、2以上の会社が合一して1つの会社になることをいいます。吸収合併では、合併対価の種類には法律上の制限はないので、消滅する会社の株式を保有する株主に対して金銭を交付する形の合併とすれば、消滅会社の株主を会社から退出させることができます。

(2)株式交換を用いた締め出し

株式交換とは、ある株式会社(株式交換完全子会社)がその発行済株式の全部を他の会社(株式交換完全親会社)に取得させることをいいます。

まず株式を取得する方法によって、会社の支配権を取得できるだけの株式を取得し、そのあとに株式交換を行えば、株式交換完全子会社の株主を排除することができます。

5. 防衛策は?

上記のような会社支配権の獲得、株主の締め出しに対する防衛策は、過去様々な方法がとられてきており、それに対する判例も出ています。下記のようなものが防衛策として考えられます。

  1. 取締役会による新株予約権発行
  2. 取締役会による新株発行
  3. 差別的行使条件または差別的取得条項を定めた新株予約権の割当て
  4. 株主総会の承認を得たうえでの新株予約権発行

上記の方法の適法性については、個別的な事情によって結論は変わり得ます。迅速かつ適法に対処するためには、弁護士等に相談することが必要になってきます。