業種 | 運送業 |
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お困りの問題 | 問題従業員対応・労務管理, 労働紛争・労使紛争, 顧問 |
担当弁護士 | 前原 彩 弁護士 |
最終更新日:2024年10月25日
ご相談に至る経緯
運送会社X社様は、3カ月前に会社を退職した元従業員から、「無事故手当が未払いであるから支払え」という請求を受けました。
X社様は、よつば総合法律事務所に顧問弁護士を依頼しています。 そこで、元従業員から請求を受けたのち、すぐに弁護士に相談しました。
解決までの流れ
退職の数日前に事故を起こしていたこと
元従業員は、退職の数日前に自損事故を起こしていました。
しかし、事故を元従業員は会社に申告していませんでした。
もっとも、帰庫後の車両点検を会社がしたときに、トラックの傷を発見し、事故が発覚しました。
元従業員も一度は納得していたこと
会社は従業員に対し、次のようなことを伝えていました。
- 明らかに自損事故であること
- 事故を起こしているから無事故手当は支払えないこと
その場で従業員は「わかりました」という返答をします。
そのため、会社は従業員が納得したものと考えていました。
退職後に元従業員が無事故手当を請求してきたこと
退職してしばらくしたころ、いきなり元従業員が会社に対し、「無事故手当を支払え」と請求してきました。いきなり請求してきた理由は不明です。
弁護士名での通知書の発送
X社様は、トラックに損傷を発見したときの写真を残したり、損傷を発見したときの経緯を記録に残したりしていました。
そこで、弁護士は、弁護士名で通知書を作成して元従業員に送付します。
元従業員が納得して解決
交渉の初期段階では、元従業員は「払え払え」と言い続けたりするなどし、なかなか話し合いにならない状況もありました。
しかし、何度も話し合いをしたところ、元従業員の態度が軟化します。
当時残しておいた写真や資料の効果も相まって、手当支払いの条件を満たしていないから手当は支払われないということを元従業員に理解いただき、解決にいたりました。
結果・成果
- 弁護士が元従業員と交渉することにより、会社の負担が減りました。
- 弁護士が元従業員と交渉を重ねたところ、元従業員は請求をあきらめました。
- X社様は無事故手当の支払いをせずに済みました。
担当弁護士のコメント
今回の交渉がうまくいったポイントは、次の3つです。
- ① 顧問として日頃から対応していた会社様であること
- ② 手当の支払い条件が明確であったこと
- ③ 事故当時の資料が残っていたこと
① 顧問として日頃から対応していた会社様であること
X社様は、普段から顧問として対応していた会社様です。そのため、元従業員から請求があってすぐにご相談いただくことができました。
顧問がいない会社様だと、トラブル発生時にどこに相談していいかわからず、対応に苦慮していたり、適切でない対応をして事態を悪化させてしまったりしているケースがあります。
トラブルが発生したときは、すぐにご相談いただくことにより適切な初動対応ができます。
元従業員からわけのわからない請求がきて、面倒だと思って支払ったら次から次へと請求がきたという事案もあります。
X社様の場合、すぐに弁護士に相談できる環境であったことがポイントです。
② 手当の支払い条件が明確であったこと
X社様は、よつば総合法律事務所で賃金規程の見直しもしていた会社様でした。手当の支払い条件も明確な規程となっていました。
そのため、今回の請求についても、無事故手当の条件に当てはまっていないから手当の支払いはできないと明確に反論することができました。
この点、規定がしっかりしていないと、支払い条件が不明確であるために手当を支払わなければいけないパターンに陥りがちです。
普段から規定のチェックや見直しをしておくことにより、こういった請求を防ぐことができます。 X社様の場合、規程で手当の支払い条件が明確になっていたことがポイントでした。
③ 事故当時の資料が残っていたこと
いい解決ができた最後のポイントは、X社様が資料や記録を残していたことです。
よくあるのが、「自分は事故を起こしてない」と従業員が主張してくることです。
事故から時間が経ってから証明しようと思っても、なかなかうまくいきません。 もっとも、X社様は、次のような適切な対応をしていました
- 事故前後の車両点検表を保管していた。
- 事故前後の車両の写真を撮っておいた。
事故当時の資料が残っていたため、事故の有無の争いを防げました。
このように、素早く対応することによって解決できる事案はたくさんあります。
トラブルが発生した場合には、躊躇なく弁護士にご相談ください。
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