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対消費者の法律問題
近時、消費者保護の流れはめざましく、行政による事業者への監視も一段と厳格化の方向で変化してきています。
企業の消費者保護法令への対応が不十分な場合には、企業の存立を危うくする事態にもなりうることが広く認知され、事業者にとって消費者保護法令の遵守体制を確立することの重要性が飛躍的に高まってきています。
消費者トラブル
消費者との間で発生したトラブルが大きくなってしまうと、事業者にとって悪い結果が生じるケースがあります。事業者側が消費者保護法に違反している場合には、尚更です。このように、消費者との間でトラブルが大きくなったときに、事業者にどのような不利益結果が生じるのか、概観いたします。
消費者保護法違反による行政処分
重大な違反があった場合には、監督官庁から行政処分を受け、最悪の場合には業務停止となります。
事業者側が消費者保護法に違反しているような場合には、行政処分を受けることになります。具体的には、業務改善の指示、重大な違反があった場合などには業務停止命令の行政処分を受けることになります。
また、監督官庁からの行政処分はインターネット上に公開されることが多く、事業者の再起にとっても致命的になりかねません。
消費者保護法違反による刑事処罰
上記の業務改善の指示や、業務停止命令は行政処分ですが、消費者保護法の中には行政処分ではなくて、刑事罰になるという罰則もあります。消費者とのトラブルが大きくなった場合には、当該罰則に基づいた刑事告発というものも行われています。
悪質な事例は、刑事告発により法人と代表者の刑事責任が追求され、場合によっては詐欺罪での立件もあり得ます。
消費者からのクーリングオフ
消費者からクーリングオフを主張される場合もあります。
消費者との間のトラブルが大きくなると、消費者の側からクーリングオフを主張されて、契約が取り消されてしまうこともあります。例えば、契約時に消費者に交付しなければならないと法律で定められている書面(概要書面や契約書面など)に重大な不備がある場合には、消費者はクーリングオフをして全額返金を求めることができるようになります。
しかし、消費者から書面不備によるクーリングオフを主張された場合でも、不備の程度によりクーリングオフできる場合とそうでない場合があります。
消費者保護法
事業者にとって消費者保護法令の遵守体制を確立することは重要です。
消費者保護法とは
「消費者保護法」という特定の法律が存在するわけではなく、消費者の利益を保護する目的で、消費者と事業者の取引に干渉することを内容とする法律を総称して消費者保護法といっています。具体的には、消費者契約法、特定商取引法、割賦販売法、貸金業法、利息制限法などの法律があります。
近時、消費者保護の流れはめざましく、英会話スクールのNOVA事件などを受け、経済産業省など行政による事業者への監視も一段と厳格化の方向で変化してきています。
企業の消費者保護法への対応が不十分な場合に、企業の存立を危うくする事態にもなりうることが広く認知され、事業者にとって消費者保護法の遵守体制を確立することの重要性が飛躍的に高まりました。
苦情が消費者紛争に発展しないために
これらの消費者保護法は、消費者の権利意識が高まるにつれ繰り返し改正があり、行政当局の対応も変化がめざましく、事業者の法務担当者の方々は対応に苦慮しているのは事実です。ことに消費者に有利な法律ですので事業者の多くは不公平感や戸惑いを感じていることが多く、事業者にとって頭の痛い法制度でしょう。
しかし、事業者は消費者保護法という土俵の上で営業しているわけですから、頭の痛いところですが、変動する消費者保護法に真正面から対応しなければならず、避けては通れません。消費者紛争を防止するため、苦情そのものを減らすことは言うまでもないことですが、苦情が消費者紛争に発展しないような企業法務を採用しましょう。
消費者紛争の対処法
(1) 消費者紛争に発展してしまった苦情事案
消費者紛争に発展してしまった苦情事案では、消費者が救済されなければならない悪質な事例も多く、それは早期に誠実に対応すべきでしょう。
しかし、中には事業者に全く落ち度がなくサービスの提供を受けているのに契約書の問題点を探して代金の返還を求める理不尽な事例(いわゆるクレーマー)も増加しつつあり、それは後を絶つためにも争う事案でしょう。
(2) 事業者の法務担当者は的確に判断する必要があります
事業者の法務担当者には、消費者紛争が早期に解決すべき問題事案であるのか、不当要求事案であるのかを的確に判断する必要があります。
どちらにせよ、事業者が消費者紛争を抱えることは、インターネットなどの情報伝達手段をとおして、悪評が広まるリスクを秘めていますので早期解決は重要です。