1. 有限会社制度の廃止
会社法では、会社類型の選択の硬直化・規制の形骸化を踏まえて、有限会社制度が廃止されました。ただし、既存の有限会社については「特例有限会社制度」が適用され、引き続き「有限会社」の商号使用が認められるなど、これまでの規律を維持するための必要な経過措置が設けられました。
2. 特例有限会社
上記のように、会社法施行後も有限会社の名称と実態を変えないで会社を存続させたいというニーズに配慮して、会社法では特例有限会社制度が設けられました。
既存の有限会社は、会社法の施行により自動的に特例有限会社に移行することとなり、そのための定款変更や登記申請等は原則として不要です。また、特例有限会社としての存続期間について、特に制限は定められていません。
もっとも、従来の有限会社と特例有限会社の間では、いくつかの異なるポイントがあります。具体的には、
- ①これまで50名とされてきた員数の制限が廃止され、また、最低資本金の制度も廃止されました。
- ②新株予約権や社債の発行が可能になりました。
3. 通常の株式会社への移行手続き
特例有限会社から通常の株式会社へ移行するには、次の手続が必要になります。
- ①商号を「株式会社」の文字を用いたものに変更する旨の定款変更の株主総会決議が必要となります。
- ②特例有限会社についての解散の登記および商号変更後の株式会社についての設立の登記が必要となります。
今後、有限会社という名称自体が減っていくことが予想されます。有限会社から株式会社への変更をお考えの方はご相談ください。