「賃料滞納の借主に出て行ってほしい」
「迷惑行為を続ける借主に出て行ってほしい」
「交渉では解決の見通しがたたないので、強制的に建物明け渡しを実現したい」
この記事では不動産会社様にむけて、建物の明け渡し請求の流れや弁護士が関与するメリットを解説します。
不動産分野は、詳しい弁護士と、そうでない弁護士がいます。悩んだら、まずは詳しい弁護士へのご相談をおすすめします。
1. 明け渡し請求の基礎知識
明け渡し請求とは?
明け渡し請求とは、何らかの理由で賃貸借契約が終了したにもかかわらず、借主が明け渡しをしないときに、貸主が物件の明け渡しを求めることです。
明け渡し請求の流れ
明け渡し請求の流れは次のとおりです。
- ① 明け渡し請求ができる状態にする
- ② 明け渡しを求める通知をする
- ③ 明け渡しを求める裁判をする
- ④ 強制執行の手続をする
① 明け渡し請求ができる状態にする
賃貸借契約が終了していないときは、明け渡し請求はできません。
明け渡し請求をするためには、解除などで賃貸借契約を終了させなければいけません。
契約が終わることで借主の権限がなくなり、明け渡し請求ができます。
② 明け渡しを求める通知をする
明け渡し請求をするときは、まず貸主が借主に物件を返すよう通知をすることが多いです。
訴訟や強制執行などの裁判手続は費用や時間がかかるため、通知をして協議による解決を目指します。
③ 明け渡しを求める裁判をする
明け渡しを求める通知をしても借主が物件を返さない場合、貸主は借主を無理やり出ていかせることはできません。
借主を強制的に物件から出ていかせるためには、訴訟で勝訴判決を得る必要があります。
④ 強制執行の手続をする
訴訟で勝訴判決を得たにもかかわらず借主が物件から出ない場合、貸主は自分自身で借主を無理やり出ていかせることはできません。
貸主が借主を出ていかせるためには、裁判所に強制執行の申立てをする必要があります。
強制執行の申立てをすると、裁判所が貸主の代わりに借主を強制的に出ていかせます。
2. 家賃滞納者への対処法
① 電話と文書で入居者に請求する
借主が家賃を支払わないときは、すぐに督促することが重要です。
一度未払いを放置すると未払いが普通になってしまい、滞納が続く確率が上がります。
借主が家賃の滞納をしはじめたときは、継続的に連絡を取ることが重要です。
② 内容証明郵便による請求をする
内容証明郵便は、郵便の内容を郵便局で証明する郵便です。
賃貸借契約を解除するときは内容証明郵便を使うことが多いです。
内容証明郵便で送付すると、次のような借主の嘘を防ぐことができます。
- 「郵便物なんて届いていない」と借主が嘘をつく
- 「貸主が言うような内容は書いてなかった」と借主が嘘をつく。
そのため、必要に応じて内容証明郵便を利用することが重要です。
③ 明渡訴訟への展開を検討する
借主が家賃を滞納していても、貸主が無理やり借主を物件から追い出すことはできません。
自分で強制的に明け渡しを実現しようとすると、自力救済という違法行為となってしまいます。
借主を強制的に追い出すためには、訴訟で勝訴判決を獲得したうえで、強制執行の手続を裁判所に申し立てなければなりません。
裁判所によって追い出してもらう手続きが必要です。
家賃の滞納が始まると滞納額がどんどん増えていってしまう可能性があります。貸主の損害が大きくならないうちに訴訟提起を検討しましょう。
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3. 家賃滞納者以外への対処法
近隣住民からの苦情が多い借主への対応
近隣から苦情が多く寄せられているときは、契約を解除して明け渡し請求をすることを検討しましょう。
借主は契約のルールにしたがって借りたものを使わなければなりません。
借主がこの義務を守らないと、債務不履行を理由とする解除ができることがあります。
騒音や異臭などの迷惑行為の具体例
騒音や異臭などの迷惑行為を具体例として考えてみましょう。
苦情が貸主に寄せられたときは、まず借主に改善するよう連絡しましょう。
証拠に残るように内容証明郵便で送る方法がおすすめです。
改善するよう求めたにもかかわらず借主が改善しないときは、契約の解除を検討しましょう。
契約の解除の意思表示は内容証明郵便で通知しましょう。
騒音や異臭などの迷惑行為による解除はハードルが高い
少しの騒音や異臭などの迷惑行為では、契約を解除できません。
証拠を集めるとともに、弁護士に相談しながら慎重に進めていきましょう。
建物の使用目的を守らない借主への対応
賃貸借契約では物件の使用目的を決めておくことが多いです。
たとえば、建物の用途を自宅や事務所などと具体的に決めておく契約です。
しかし、このように使用目的を決めていたにもかかわらず、違う使い方を借主がしているケースもあります。
契約で決めた使用目的を守っていないときは、貸主から借主に改善するように通知しましょう。
それでも借主が改善しないときは、賃貸借契約の解除を弁護士と相談しながら検討しましょう。
4. 明け渡し請求で弁護士が関与できること
① 内容証明郵便の作成や送付
明け渡し請求を実現するためには、賃貸借契約を解除しなければなりません。
どのようなケースであれば賃貸借契約を解除できるかは専門的な判断が必要です。
賃貸借契約を確実に解除するために、内容証明の内容も適切なものにしなければなりません。
弁護士に依頼すれば、迅速かつ適切に内容証明郵便の作成や送付ができます。
② 迅速な訴訟提起
明け渡し請求に慣れている弁護士であれば、迅速に明渡訴訟を提起できます。
また、訴訟提起した後の問題にも適切に弁護士は対応できます。
たとえば、訴訟提起をすると訴状を借主に送りますが、借主が訴状を受け取らないことがあります。
その場合、借主が実際にその場所に住んでいるのか現地調査する必要があります。
弁護士に依頼すればこの作業も代わりに行い、裁判所に適切な報告書を提出します。訴訟を迅速かつ適切に進めることができます。
③ 強制執行の実現
訴訟で勝訴判決を得た後、借主を強制的に立ち退かせるためには、裁判所に強制執行の申立てをしなければなりません。
強制執行の申立てをするためには、判決文以外のさまざまな書類が必要です。
弁護士に依頼すれば、必要な書類も迅速に取得して強制執行の申立てができます。
強制執行を申し立てた後は、裁判所の人と一緒に現地に行くことがあります。
その際にも、弁護士が同行することで明け渡しを迅速に実現できます。
5. 明け渡しのトラブルは弁護士にご相談
建物の明け渡し請求を自社のみですることはもちろん可能です。
もっとも、賃料滞納がある借主や周囲に迷惑をかける借主を放置すると、問題がどんどん大きくなります。
弁護士が関与すれば、早期かつ適切な解決ができる確率が上がります。
よつば総合法律事務所では、多数の不動産会社様と顧問契約をしています。また、宅地建物取引士の資格がある弁護士も在籍しています。
建物の明け渡し請求のことで気になることがあるときは、よつば総合法律事務所までお問い合わせ下さい。