1.今年は6月27日に株主総会開催日が集中しました
いまは超低金利の時代なので株式投資をしている方も多いかと思いますが、株式を保有していると定時株主総会の招集通知が届きます。
上場企業の株式を保有している方には、毎年6月上旬に株主総会の招集通知が届く会社が多いのではないでしょうか。
東京証券取引所が公表した集計結果によりますと、2019年3月期決算会社の定時株主総会の開催日が最も集中するのは“6月27日(木)”とのことです。2330社のうち719社(30.8%)が同日に開催する予定のようです。
例年、3月期決算会社の定時株主総会の開催は「6月最終営業日の前営業日」に集中することから、今年も例年通りということになります。
毎年6月の時期になると大企業の株主総会で話題になったことがニュースで取り上げられたりします。そこで、今回はこの時期話題の「株主総会」についてご説明したいと思います。
2.株主総会はいつ開催するのか?
株主総会には、定時株主総会と臨時株主総会があります。
定時株主総会は、毎年事業年度の終了後一定の時期に必ず開催しなければいけないことになっています。これに対して、臨時株主総会は、定時株主総会以外に必要がある場合に、いつ開催してもよい株主総会のことです。
ニュースで話題になりやすい6月開催の株主総会の多くは、定時株主総会であると思います。
定時株主総会は、「毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならない」(会社法296条1項)とされていますが、事業年度の終了後3ヶ月以内に開催するのが一般的です。実務上は、会社の定款で定時株主総会の時期について、「毎事業年度終了後3ヶ月以内」などと定めている会社が多いと思います。
日本では3月決算の会社が多いので、事業年度が終了した3月から3ヶ月以内で、かつ、総会の準備期間を確保するために、大企業では6月下旬に株主総会を開催する会社が多いのです。(同じように、12月決算の会社は3月に株主総会を開催することが多いです。)
3.株主総会には誰が出席するのか?
株主総会に出席できるのは、株主総会時に議決権を持っている株主(会社が定める基準日時点(一般的に事業年度末日)において株主名簿に記載されている株主)か、その株主の代理人です。
会社側は、代表取締役や取締役、監査役などの役員が出席し、事務局として会社の従業員が出席することもあります。
4.株主総会では何をするのか?
株主総会とは、株主が参加して、その決議によって会社の基本的意思決定を行うための会社の機関です。すべての株式会社が毎事業年度ごとに実施しなければなりません。
株主総会で何を決議するのかは、その会社が取締役会を設置しているかどうかによって異なります。
取締役会設置会社においては、法令及び定款に定めた事項に限り決議することができるとされています。これに対して、取締役会がない会社では、会社に関する一切の事項について決議することができることになっています。
取締役会設置会社における株主総会の主な決議事項は、簡単にまとめると次のとおりです。
- 会社の基礎の変更-たとえば、定款変更、会社分割など
- 会社機関の選任・解任-たとえば、取締役の選任・解任など
- 会社の計算に関する事項-たとえば、計算書類の承認など
- 株主の利害に大きな影響を与える事項-たとえば、剰余金の処分など
- 役員報酬等の決定-たとえば、取締役の報酬の決定、退職慰労金額の決定など
5.さいごに
株主総会を実施するには、招集通知や議事進行の準備、当日の運営、議事録の確認など、多くの場面で法的知識が必要となります。
会社に顧問弁護士がいると、適正な株主総会を実施するために、株主総会の準備から当日の議事運営まで、株主総会全般についての法的サポートが可能です。
株主総会の実施について法的なチェックを受けたことがない場合や、そもそも株主総会を開催していない、株主間で紛争を抱えている、などという場合には、株主総会に関する法的リスクについて、一度法律の専門家にご相談されることをおすすめします。
※上記記事は、本記事作成時点における法律・裁判例等に基づくものとなります。また、本記事の作成者の私見等を多分に含むものであり、内容の正確性を必ずしも保証するものではありませんので、ご了承ください。