偽装請負のリスク

建築業界の方であれば、偽装請負という言葉を聞いたことはあると思います。

そもそも、偽装請負とは、業者間で形式上は請負契約や業務委託契約を締結していながら、実態は労働者派遣や労働者供給であることをいいます。

どのような場合に偽装請負にあたるかは以下の記事を参照ください。

【建設業向け】偽装請負にご注意を!

契約書の名前が「請負契約書」ではなく、「業務委託契約書」である場合にも、偽装請負の判断基準に基づいて、偽装請負と判断されることもあるのでご注意ください。

では、ある会社Aが、建築工事を下請業者B(派遣業許可なし)に請け負わせ、建築現場に、下請業者Bと業務委託契約を締結していたCが建築工事を行っていたという状況で、無許可の派遣業として偽装請負と判断された場合、どのようなリスクがあるでしょうか。

リスク1 AとCとの雇用契約の成立

Cの業務形態が偽装請負と判断されてしまうと、労働契約申込みみなし制度(労働者派遣法第40条の6)が適用され、Cの選択によって、選択以後にAとCとの間で雇用契約が締結されてしまうのです。

なお、Aに拒否権はありません。

このようにAとCとの間で雇用契約が締結されると、AはCの労務管理をする必要が出てきてしまうのです。

AとCの雇用契約が成立されてしまうと、想定外に労働者を雇用するはめになったとして、AはBに対して契約解除を迫ってくる可能性があります。また、Bからすると、委託先を失う結果になってしまいます。

リスク2 行政処分

違法な労働者派遣として、偽装請負と判断される場合、Bのみならず、Aに対しても、行政処分がなされる可能性があります(労働者派遣法第48条以下)。

リスク3 刑事罰

行政処分を超えて、Bに対しては、「100万円以下の罰金」に処せられる可能性(労働者派遣法第59条2号)となり、さらにBの代表者らに対しても、罰金刑が科される可能性があるのです(労働者派遣法第62条)。

対応策

では、偽装請負と判断されないためには、どのようすればいいでしょうか?

派遣業の許可を得たうえで、労働者を派遣するという方法があります。

ただし、派遣業の許可のための資産要件はとても厳しいものであり、簡単に派遣業の許可を得られるわけではありません。

【建設業向け】偽装請負にご注意を!の判断基準でも記載されていますが、偽装請負の判断基準として、最も重要な点は、元請(派遣先)から具体的な指揮命令を受けているか否かです。

そのため、元請からの指示については、面倒であっても下請業者を経由して行う等配慮が必要になります。

【建設業向け】偽装請負にご注意を!

ただし、今後はCの業務形態が、Bとの関係で業務委託ではなく、雇用契約であった!と判断されてしまうこともあります。

その場合、BがCの時間外手当の危険、社会保険の支払い、労災事故の責任等の負担を負うことになり、様々な支障が出てきてしまいます。

現在の業務形態についてご不安がある場合には専門家にご相談ください。

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以上

文責:弁護士 渡邉優

※上記記事は、本記事作成時点における法律・裁判例等に基づくものとなります。また、本記事の作成者の私見等を多分に含むものであり、内容の正確性を必ずしも保証するものではありませんので、ご了承ください。