【建設業】民法改正により請負契約書の見直しが必要です

1.建設工事標準請負契約約款が改正されます

国土交通省の報道発表(令和元年11月7日付報道発表)によれば、2020年4月に施行される改正民法の内容を踏まえて、「建設工事標準請負契約約款」の内容を改正することになっているところ、2019年11月時点ではまだ標準約款の改正案をとりまとめる段階のようです。

12月に開催される中央建設業審議会で、改正標準約款を作成し、発注者、受注者の双方にその実施を勧告する予定になります。

今回の民法改正は、民法制定以来約120年ぶりの大改正といわれています。改正民法が施行されるまでに建設工事の請負契約の内容を見直す必要があると思いますが、請負契約のひな型作成の参考になる標準約款の内容が改正されるのが民法改正の3、4か月前ということになります。

そのため、民法改正にともなう請負契約書の見直しをまだ行っていない建設業者は、紛争を未然に防ぐために、契約書の見直しを急務で行う必要があります。

2.民法改正は原則2020年4月1日施行です

民法は日常生活、経済活動に関わる最も基本的な法律の一つです。その民法のうち債権関係の規定が改正されます。改正点は多岐にわたるため、企業間の取引実務にも影響があると予想されます。

この民法改正は、基本的には2020年4月1日が施行日になります。

そのため、原則としては、2020年4月1日より前に締結された契約については改正前の民法のルールを適用することになり、施行日後に締結された契約については改正後の民法が適用されることになります。

なお、例外として、定型約款に関する規定と、公証人による保証意思の確認手続きに関する規定については、例外的に施行日が定められています。

3.改正民法に対応した請負契約書を作成しましょう

実務上は、建設工事の契約締結時に詳細な工事内容が確定しているとは限らず、施工途中で施主の意向を確認しながら工事を進めていく場合もあると思います。

そのような場合でも、事後の紛争を防ぐためには、請負契約締結時における内容で請負契約書を作成すべきです。

請負契約書を作成していない、請負契約書を作成しているが紛争を予防する条項がほとんど入っていない、という場合、紛争発生後にご相談をお受けしても解決にとても苦労することがあります(1、2年かけて裁判で争ったうえ一部しか請求が認められない事案など)。

また、2020年4月1日に改正民法が施行されると、完成した建築物に欠陥があった場合の請負業者の法的責任の内容や、請負工事が未完成のまま解約となった場合の報酬請求権の扱いなど、建設業に関わる点で民法のルールが変わります。

そのため、2020年4月1日までには、2019年12月に改正される予定の建設工事標準請負約款の内容を確認したうえで、改正民法の内容を取り入れた内容になるよう、利用中の請負契約書の内容をしっかりと見直しましょう。

現在使用している契約書のひな型がない、あるいは契約書の内容が改正民法の内容に適合しているか不安だ、といったお悩みがございましたら、ぜひ一度弁護士にご相談ください。

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文責:弁護士 今村公治

※上記記事は、本記事作成時点における法律・裁判例等に基づくものとなります。また、本記事の作成者の私見等を多分に含むものであり、内容の正確性を必ずしも保証するものではありませんので、ご了承ください。