自社の就業規則、大丈夫ですか?-就業規則の見直しの3つのポイント

<はじめに>

「大分昔に就業規則を作って以降、変更したことがないので、そろそろ見直したい」「社労士さんに作成を依頼したが、内容が良くわからない」-等々、就業規則の見直しに関する相談を受けることが良くあります。

本記事作成時点で、300社以上の企業様より顧問契約を締結いただいていることもあり、様々な会社の就業規則をこれまで見てきました。

今回は、弁護士の目線から見たときに、「使いづらい」と感じる就業規則の条項3つをお話させていただきます。就業規則の見直しを検討されている企業様は、是非自社の就業規則と照らし合わせてみてください。

1. 自然退職に関する規定がない

1つ目として、「自然退職に関する規定がない」というものが挙げられます。

「自然退職」とは、会社や労働者の行為や意思表示(解雇・退職の意思表示等)が何ら必要なく、一定の事由が生じた場合には、当然に(=自然に)退職になる、というものです。実務上、結構使う規定です。

ある日いきなり労働者が会社に出社しなくなり、音信不通になったとします。この場合、会社としては、ずっと籍を置いておくわけにもいかないので、早く辞めてもらいたいと思うのが通常でしょう。とはいえ、事情も分からない中で、解雇を選択するのも躊躇われます。

そもそも解雇するにも、労働者と連絡がつかなければ、解雇を伝えることもできません。
こんな時に便利なのは、自然退職の規定です。例えば就業規則において、「従業員が行方不明となり、30日以上連絡が取れないときには、当該期間の満了日を以って退職となる」という規定があれば、特に解雇等を選択しなくても、30日が経過した時点で当然に退職したものとして扱うことができます。

そのほか、「休職期間が満了となったものの、復職できない場合には、当該満了日をもって退職とする」など、休職の場面でも自然退職の規定が使われることが多いです。

これも、中々解雇は選択しづらい場面ですが、自然退職の規定があれば、解雇を選択せずとも、退職という効果を生じさせることが可能です(ただし、復職可能かという点は、慎重に判断する必要がございます。)。

自社の就業規則に自然退職に関する規定があるか、チェックすることをお勧めします。

2. 休職期間が非常に長い

相場的なものはありませんが、休職に至るまでの期間が非常に長かったり、非常に長期の休職を認める就業規則もあります。

例えば、就業規則において、「私傷病により3か月間欠勤が続いた場合には、休職を命じる」「休職期間は、1年半とする」というような定めがあったとします。この就業規則を前提とすると、3か月間の欠勤がなければ、そもそも休職を命じることすらできません。

休職を命じたとしても、1年半は、復職できるかの判断を会社は待たなければなりません。

勿論、休職のルールを理解した上で、長めの休職期間を設定すること自体は素晴らしいことです。

休職制度は、体調を崩してしまった労働者の解雇を猶予するためのものであるため、休職期間が長いことは、労働者にとってはとてもありがたいことです。

ただし、ルールをよく知らないまま期間を設定してしまうと、場合によっては会社にとって大きな負担になることがあります。

一度、自社の休職規定を確認することをお勧めします。

3. 懲戒事由が少ない/懲罰委員会の定めがある

最後に、「懲戒事由が少ない」、「懲罰委員会の定めがある」、といったものも挙げられます。

労働者に何らかの問題行動があった場合、会社としては、懲戒処分(ペナルティ)を科すことを検討することとなります。

ただし、懲戒処分を科すには、①労働者の行為が就業規則上の懲戒事由に該当し、②かつ就業規則上で具体的な処分(譴責、減給、出勤停止、懲戒解雇等)が規定されており、③きちんとした手続を取っていること(本人の言い分を事前に聞く等)が前提として必要になります。

このうち、懲戒事由が少ないと、①の懲戒事由該当性で引っかかる可能性があります。「明らかに問題行動だし、懲戒処分を科したいけど、当てはまる懲戒事由がない…」という事態になるのを防ぐため、懲戒事由は網羅的に記載することをお勧めします。

また、懲罰委員会の定めがあると、③の手続面で引っかかる可能性があります。勿論、しっかりと懲罰委員会を開催すればよいのですが、何らかの理由で委員会を開催しなかった場合には、それだけで懲戒処分が無効になる可能性が出てきます。

「就業規則に懲罰委員会なるものが定められていること自体、指摘されて初めて知った」というケースも目にしたことがあります。このような規定があるかは、懲戒処分を検討する段階で、必ず確認しましょう。

<おわりに>

以上、あくまでも弁護士の目線から、「使いづらい」と感じてしまう就業規則の条項につきお話させていただきました。

「あれ、こんな条文あったっけ?」と思う箇所も出てくるかもしれませんので、改めて自社の就業規則を読み直してみることをお勧めします。

就業規則の見直しを含め、お困りの際は、お気軽にご相談ください。

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以上

文責:弁護士 村岡つばさ

※上記記事は、本記事作成時点における法律・裁判例等に基づくものとなります。また、本記事の作成者の私見等を多分に含むものであり、内容の正確性を必ずしも保証するものではありませんので、ご了承ください。