控訴と附帯控訴について

第1審の裁判所にて判決が下された場合、当事者は判決を納得して受け入れるか、上級の裁判所に不服を申し立てるか(控訴を行うか)を検討することとなります。

今回は、民事裁判における「控訴」と「附帯控訴」について、お話します。

控訴とは

控訴(こうそ)とは、第1審の裁判所が下した判決に対する不服申し立てのことです。千葉地方裁判所が第1審であれば、東京高等裁判所に判断を求めることとなります。

控訴の期間は、第1審判決が送達された日(≒受け取った日)の翌日から2週間です。

控訴審の判断は、第1審の判断について不服がある範囲についてのみ行われます。その結果、控訴審では原則として第1審の判決を控訴人の不利益に変更することはできないとされています(不利益変更禁止の原則といいます)。

このルールから、例えば、訴訟で100万円を請求して、第1審で30万円が認められた場合において、請求した原告が控訴をした場合には、第1審で認められなかった「70万円」が控訴審での審理・判断の対象となり、第1審で認められた「30万円」は審理・判断の対象とならないのが原則です。

被告側が控訴をした場合には、第1審で認められた「30万円」が控訴審での審理・判断の対象となり、「70万円」は審理・判断の対象とならないのが原則です。

民事訴訟法296条1項

口頭弁論は、当事者が第一審判決の変更を求める限度においてのみ、これをする。

民事訴訟法304条

第一審判決の取消し及び変更は、不服申立ての限度においてのみ、これをすることができる。

当方は第1審の判決を受け入れようとしたのに・・・

当方が原告として複数の請求を行い、部分的に負けることがあったとしても、負けた部分について請求が認められないことは仕方がないと第1審の判決を受け入れるというケースは現実に充分にあり得ます。

ただ、第1審の判決に対して不服申し立てを行うことができるのは当方だけでなく、裁判の相手方も不服申し立てを行うことができます。

そのため、こちらとしては第1審の判決を受け入れて控訴を行わなかったにもかかわらず、裁判の相手方の控訴により控訴審に巻き込まれてしまうこととなります。

例えば、先の例でみると、第1審で認められた30万円のみが審理の対象となるのが原則ですが、当方としては、控訴審に行くなら、認められなかった70万円についても再度判断してもらいたいと思うのが通常でしょう。

もっとも、上でみた「不利益変更禁止の原則」からすると、こちらが控訴しない限りは、「30万円」のみが審理の対象となり、「70万円」は審理されないこととなります。

そうすると、当方としても、判決に不服はないけれど、相手方の控訴に備え、とりあえず控訴期限内に控訴をしておかないといけないのでしょうか。

附帯控訴

上記の問題を解消するために使用されるのが、附帯控訴の手続きです。附帯控訴とは、控訴された側が、第1審の判決を自己のためにも有利に変更するように主張し、裁判所に判断を求める手続きです。

控訴された側から附帯控訴があると、審判の範囲が拡張され、不利益変更禁止の原則が解かれ、控訴した側に不利益な判断が可能となります。

先の例で言うと、この手続を利用することにより、第1審で認められなかった「70万円」の部分も、再度審理してもらうことが可能になります。

そのため、当方として判決に不服はないけれど、相手方の控訴に備えとりあえず控訴をしておくということは行う必要はないのです。

民事訴訟法293条

被控訴人は、控訴権が消滅した後であっても、口頭弁論の終結に至るまで、附帯控訴をすることができる。

最後に

第1審の判決が下された場合、おそらく和解の検討を行ったり、証人尋問を経ていたり、多くの経過をたどって判決まで至っているかと思います。苦労の結果下された第1審の判決です。

判決を受け入れるか、当方から控訴するか、当方から控訴は行わず相手が控訴した場合に附帯控訴を行うか、控訴審での経過の予想をふまえて2週間という短い控訴期間内に慎重に判断を行う必要があります。

本ブログの内容に関わらず、企業様の法律問題でお困りの際は、下記よりお問い合わせください。

お問い合わせフォーム

以上

文責:弁護士 根來真一郎

※上記記事は、本記事作成時点における法律・裁判例等に基づくものとなります。また、本記事の作成者の私見等を多分に含むものであり、内容の正確性を必ずしも保証するものではありませんので、ご了承ください。