企業の営業戦略として、販売したい商品におまけをつけて、お客様を誘引することがあるかと思います。しかし、おまけを規制するルールがあるのをご存知でしょうか。
それは、景品表示法です。景品表示法では、「景品類」について規制をしています。景品類とは、顧客を誘引するための手段として、事業者が自己の供給する商品・サービスの取引に付随して提供する物品、金銭その他の経済上の利益と定義されています。
この定義からすると、おまけも景品類に該当することが多いかと思います。おまけのつけ方にも色々あると思いますが、たとえば、自社製品を買ってくれた人全員におまけをつける場合は、景品表示法の総付景品に該当する可能性があるので、消費者庁のHPを参照するなどして、よく規制を確認する必要があります。
総付景品とは、懸賞によらず、 商品・サービスの購入者に対してもれなくプレゼントする金品等がこれに当たります。
この場合は、下記のような制限があります。
取引価額 | 景品類の金額 |
---|---|
1000円未満 | 200円 |
1000円以上 | 取引価額の10分の2 |
では、自社製品を購入してくれたお客様に対して、次回からの買い物で使えるサービス券(3割引券)を配布することはこの規制に違反して、法律違反になるのでしょうか。
一見すると、景品類の上限金額をオーバーしており、法律違反になりそうな気はします。しかし、上記のルールには以下のような例外があります(一般消費者に対する景品類の提供に関する事項の制限(告示)2)。
一 商品の販売若しくは使用のため又は役務の提供のため必要な物品又はサービスであって、正常な商慣習に照らして適当と認められるもの |
二 見本その他宣伝用の物品又はサービスであつて、正常な商慣習に照らして適当と認められるもの |
三 自己の供給する商品又は役務の取引において用いられる割引券その他割引を約する証票であつて、正常な商慣習に照らして適当と認められるもの |
四 開店披露、創業記念等の行事に際して提供する物品又はサービスであつて、正常な商慣習に照らして適当と認められるもの |
この事案では、割引券は、次回買い物から使える「割引券その他割引を約する証票」なので、取引通念上妥当と認められる範囲では、上記三に該当して、総付景品規制の対象外となります。
なお、景品表示法に違反しない場合でも、各業界団体が独自のルールを定めていることもあるので、そのようなルールも確認したうえで、おまけをつけるのが無難かと思います。
いずれにせよ、おまけをつける場合は、景品表示法に違反しないか、また各業界の規制に違反しないかよく検討されるべきかと思います。
※上記記事は、本記事作成時点における法律・裁判例等に基づくものとなります。また、本記事の作成者の私見等を多分に含むものであり、内容の正確性を必ずしも保証するものではありませんので、ご了承ください。