会社にとって、新規顧客を紹介してもらうことは取引の拡大、売り上げを伸ばすうえで重要なことです。
お客様を紹介してもらうためには、紹介者の方にも何らかのサービスもしくは利益を与えてあげたいところですよね。
そこで、様々な会社でお友達紹介キャンペーンというものが実施されています。
たとえば、スポーツジムなどでも、新会員を紹介してくれた方には、もれなく個別レッスンのサービス券をプレゼントしますとか、月会費を割り引きますというサービスが行われていると思います。
では、このようなサービスの提供は、景表法上問題はないのでしょうか。
まず、景表法が問題としている「景品類」については、景表法第2条第3項において以下のように定義されています。
- 顧客を誘引するための手段として
- 事業者が自己の供給する商品又は役務(サービス)の取引(不動産に関する取引を含む。)に付随して
- 取引の相手方に提供する物品、金銭その他の経済上の利益であって、
- 内閣総理大臣が指定するものをいう
具体的には、金銭、金券、商品券、優待券などが景品類に該当します。
景品類に該当した場合、景表法上の様々な規制を受けます。
- たとえば、抽せん券などのように偶然性を利用して景品を提供する場合は、「懸賞により提供する景品類の最高額は、懸賞に係る取引の価額の二十倍の金額(当該金額が十万円を超える場合にあっては、十万円)を超えてはならない。」「懸賞により提供する景品類の総額は、当該懸賞に係る取引の予定総額の百分の二を超えてはならない。」(懸賞による景品類の提供に関する事項の制限(告示))などの規制があります。
- 他にも、「一般消費者に対して懸賞・・・によらないで提供する景品類の価額は、景品類の提供に係る取引の価額の十分の二の金額(当該金額が二百円未満の場合にあつては、二百円)の範囲内であつて、正常な商慣習に照らして適当と認められる限度を超えてはならない。」(一般消費者に対する景品類の提供に関する事項の制限(告示))などの規制があります。
では、お友達紹介キャンペーンと称して、紹介者に優待券やキャッシュバックを行うことはこのような景表法の規制にかからないのでしょうか?
結論としては、紹介者を限定せずにお友達紹介キャンペーンを行うことは景表法の規制にかかりません。他方で、紹介者を自己の供給する商品・サービスの購入者に限定する場合には、景表法の規制対象になってきます。
その理由としては、紹介者を限定しない紹介キャンペーンですと、上記の景品類の定義のうちの取引に付随しての要件を満たさないので、そもそも景品類には該当しないと考えられていますが、紹介者を自己の供給する商品・サービスの購入者に限定する場合には、取引に付随しての要件に該当して、景品類等に該当すると考えられているのです。
このように、ちょっとしたことではありますが、景表法の規制の対象になるか否かが変わることもあります。何か新しいサービスを行うときには、一度専門家に相談してみるのがいいですね!
※上記記事は、本記事作成時点における法律・裁判例等に基づくものとなります。また、本記事の作成者の私見等を多分に含むものであり、内容の正確性を必ずしも保証するものではありませんので、ご了承ください。