債権回収で裁判をする場合の一番のポイント

取引先の売掛金が回収できないなど、債権回収ができないとき、話し合っても仕方がないので裁判を検討するということはよくあります。その際に、一番重要なポイントは何でしょうか。

実は、一番重要なポイントは、「相手の財産を把握できているかどうか」です。

裁判で勝ったとしても、裁判所がお金を支払ってくれるわけではありません。裁判所はあくまで判決文などの紙を発行するだけです。判決などを取得した上で、「ここに財産がありますよ」と裁判所に申告をすれば、裁判所は財産の差押をしてくれます。

比較的差押えしやすい財産の調査方法

不動産

本店所在地と代表取締役の住所地の不動産の情報を法務局で取得する方法があります。 日本全国どこの法務局でも、不動産情報は取得可能です。もし、代表取締役の住所がわからない場合には、法務局で会社の「履歴事項全部証明書」等の書類を取寄せすれば、代表取締役の住所として登記してある住所がわかります。先に抵当権(担保)が設定されていたり、既に差押等がされている場合には回収が難しいこともありますが、不動産がある場合には回収ができる確率が一気に上がります。

預金口座

銀行名・支店名がわかれば差し押さえ可能です。あとは口座に現金があるかどうかです。

売掛金

相手の会社名とある程度売掛金を特定する情報が必要です。この特定の程度の問題は結構複雑な問題がありますが、契約書・見積書・請求書などに記載してあるような基本的な事項が判明していれば差押えが可能なことが多いです。売掛金差押は会社の死活問題ですので、もし差押が可能であれば協力な武器になります。


上記のいずれも把握が難しく、既に相手が会社としての仕事を行っていないような場合には、債権回収は裁判をしたとしても難しいことが多いです。そのような場合には裁判をせずに以下のような方法の方が良い場合もあります。

  • 分割払いの合意をする方法
  • 一部免除で残金を一括で支払わせる方法
  • 貸倒損失として処理をしてしまい税金を減らす方法

判断に迷う場合には、一度弁護士などの専門家に相談してみるのもよいかもしれません。その場合、あくまで客観的に分析をして、どのような方法がよいのかを冷静に判断してくれる専門家に相談をした方が、結果的には会社経営にとって良い結果となることが多いです。

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文責:弁護士 大澤一郎

※上記記事は、本記事作成時点における法律・裁判例等に基づくものとなります。また、本記事の作成者の私見等を多分に含むものであり、内容の正確性を必ずしも保証するものではありませんので、ご了承ください。