そのメルマガ大丈夫?意外と盲点な法的規制

目次

1. メルマガ配信が違法になる?

企業のサービス等を顧客に案内する手段として、広く利用されているのがメールマガジン、通称メルマガです。

実は意外にも、メルマガ配信には法的な規制があり、どんなものも適法とは限りません。

今回は、そんなメルマガの法規制を弁護士が簡単に解説します。

2. メルマガ配信と特定電子メール法

メルマガの運用上守らなければならない「特定電子メール法」をご存知でしょうか?

俗に「迷惑メール防止法」とも呼ばれたりします。

この法律で規制される「特定電子メール」とは、「営利を目的とする団体及び営業を営む場合における個人」である送信者が「自己又は他人の営業につき広告又は宣伝を行うための手段として送信する電子メール」です。

つまり、次のような内容等を含むメールは特定電子メール法の適用対象です。

  1. 広告宣伝
  2. 広告宣伝を目的としたwebサイトへの誘導

3. 特定電子メール法の規制のポイント

特定電子メール法で注意すべきポイントは次の4つです。

  1. 原則として、あらかじめ送信を同意した消費者に対してのみ、電子メール広告の送信を認めていること
  2. 消費者からの同意を証する記録の保存を義務付けていること
  3. 広告宣伝メールの受信拒否の通知を受けた場合には、以後のメール送信を禁止していること
  4. 広告宣伝メールに、送信者の氏名・名称、受信拒否の連絡先を表示しなければならないこと

4. 規制に違反したときの罰則

では、このような法規制に違反した場合、どのような罰則があるのでしょうか?

罰則があるのは主に以下の6つです。

① 架空のメールアドレス宛に送信した場合
② 表示義務に違反した場合
③ 同意のない人に送信した場合
④ 受信を拒否した人に対して送信した場合

いずれの場合も、適切な措置を取るよう命じられ、当該命令に従わない場合には1年以下の懲役又は100万円以下の罰金、違反者が法人の場合には法人に対して3,000万円以下の罰金となることがあります。

⑤ 同意を証する記録の保存義務に違反した場合

適切な措置を取るよう命じられ、当該命令に従わない場合には100万円以下の罰金、違反者が法人の場合には法人に対して100万円以下の罰金となることがあります。

⑥ 送信者情報を偽って送信した場合

1年以下の懲役又は100万円以下の罰金、違反者が法人の場合には法人に対して3,000万円以下の罰金となることがあります。

5. 個人情報保護法や特定商取引法によるメルマガの法規制

メルマガの法規制は特定電子メール法だけではありません。メルマガは、個人情報保護法や特定商取引法の規制を受けることがあります。

① 個人情報保護法

個人情報保護法は、個人情報を取り扱う全ての企業や団体に対して、個人情報の取り扱いに関する決まりを定めた法律です。

法適用を受けるメルマガ発信者は、事前に本人から承諾を得ることなく配信先の個人情報を第三者に提供してはならない等の規制に服することになります。

② 特定商取引法

特定商取引法は、事業者による悪質な勧誘行為を規制し、消費者の利益を守ることを目的にした法律です。

法適用を受ける広告主は、電子メール広告を行うことへの承諾をしていない消費者に対する電子メール広告をすることが原則としてできません。

6. 違法なメルマガ配信にならないよう弁護士に相談

今回は、企業目線で注意すべきメルマガの法規制を簡単に解説しました。

メールの発信者は、法規制違反による罰則とならないよう注意する必要があります。もっとも、メールの配信が適法かどうかの判断は専門的な知識が必要です。

メール配信で悩んだら、まずは専門家である弁護士へのご相談をおすすめします。

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監修者:弁護士 川田啓介

※上記記事は、本記事作成時点における法律・裁判例等に基づくものとなります。また、本記事の作成者の私見等を多分に含むものであり、内容の正確性を必ずしも保証するものではありませんので、ご了承ください。