【法改正】盛土を規制する法律が施行されます。

目次

  1. 盛土規制法(正式名:宅地造成及び特定盛土等規制法)施行に至る経緯
  2. 法改正の概要
  3. さいごに

2021年7月に静岡県熱海市で発生した土石流災害の記憶が新しい中、「是正が必要な危ない盛り土」は全国に1089カ所以上あり、その3割にあたる329カ所が千葉県に集中しているというニュースがありました。

この「盛土」を規制する法律が来年2023年5月26日に施行されます。違反すると厳しい罰則も課されます。この「盛土規制法」の内容をみていきましょう。

1. 盛土規制法(正式名:宅地造成及び特定盛土等規制法)施行に至る経緯

盛土規制法は、2021年7月に静岡県熱海市で発生した土石流災害を受け、もともとあった「宅地造成等規制法」を抜本的に改正したものになります。

 旧「宅地造成等規制法」の目的は、宅地造成に伴う崖がけ崩れ又は土砂の流出による災害の防止に限られており、その他の盛土による災害については、森林機能の確保、農地の保全等を目的とした各法律がバラバラに規制を行ってきました。

そのため、盛土規制が不十分なエリアが存在していたのです。

2. 法改正の概要

これを受けて改正後の「盛土規制法」では、宅地造成だけでなく、「特定盛土等又は土石の堆積」に伴う崖崩れ又は土砂の流出による災害も防止の対象に含まれることになりました。

つまり、隣接する宅地に危険を生じさせる盛土や単なる土を捨てる行為、一時的な土石の堆積も規制対象に加わることになります。以下で概要をご説明します。

(1) スキマのない規制

① 基礎調査の実施

都道府県と指定土地・中核市は、基本方針に基づき、おおむね5年ごとに災害防止対策に必要な基礎調査として、宅地造成、特定盛土等による崖崩れ・土砂流出のおそれがある土地に関する地形・地質の状況その他の事項に関する調査をすることになりました。

② 都道府県知事による規制区域の指定

都道府県知事はこの基礎調査の結果を踏まえて、宅地造成等によって災害が生じるおそれが大きい市街地・市街地になろうとする土地等で、規制の必要があるものを「宅地造成等工事規制区域」に指定することができます。

また、都道府県知事は、基礎調査の結果を踏まえて、宅地造成等工事規制区域でない区域で、土地の状況に鑑みて、特定盛土等が行われた場合に居住者等に危険が生じるおそれが大きいと認められる区域を「特定盛土等規制区域」に指定できます。

これらの指定に際しては、市町村の意見を聴取しなければならないことになっています。また、市町村のほうから規制区域指定を申し出ることもできます。

③ 規制区域内での盛土等は都道府県知事の許可が必要に!

宅地造成等工事規制区域と特定盛土等規制区域内で盛土等を行う場合は、都道府県知事の許可が必要になります。

許可無しで盛土等を行うと、刑事罰が科せられます(下記(4)を参照)。ただし、災害の発生のおそれがないと認められるものとして政令で定める工事(認可を受けた岩石採取や認可を受けた砂利の採取など)については許可が不要です。

 

(2) 盛土等の安全性の確保

① 上記の許可については災害防止のための許可基準が設定されます。

また、許可に当たっては、土地所有者等の同意と周辺住民への事前周知が必要となります。

② 中間検査・完了検査

許可基準に沿っていることを確認するため、①施工状況の定期報告、②施工中の中間検査、③工事完了時の完了検査を実施することになります。

(3) 責任の所在の明確化

① 工事の施工中については、造成主・工事施行者に管理責任があります。無許可での盛土や安全基準違反、検査の受検義務違反等があった場合、これらの者が施行停止命令・災害防止措置命令を受けることになります。

② 施工後については、土地所有者等・原因行為者(過去の土地所有者・盛土等を行った造成主・工事施行者等)に管理責任があります。管理不全等により安全性に問題が生じている場合、これらの者が改善命令を受けることになります。

※造成主…宅地造成に関する工事の注文者(請負工事でない場合は、注文せずに自分でその工事をする者)
 工事施行者…宅地造成に関する工事の請負人(請負工事でない場合は、注文せずに自分でその工事をする者)

(4) 実効性のある罰則

無許可行為や命令違反等に対する懲役刑・罰金刑について、条例による罰則の上限より高い水準に強化されます(最大で懲役3年以下・罰金1000万円以下)。

また、個人とは別に法人に対しても最大で罰金3億円の法人重科があり、重い罰が課されることになります。

3. さいごに

違法な盛土は、近隣住民を大きな危険にさらす行為です。また、違法な盛土をしてしまった場合の罰則もかなり重くなります。

事業者の皆様は、盛土が必要な場合は規制区域にあたるか確認し、必要な場合は許可を取って、慎重に行うようにしてください。

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以上

文責:弁護士 辻佐和子

※上記記事は、本記事作成時点における法律・裁判例等に基づくものとなります。また、本記事の作成者の私見等を多分に含むものであり、内容の正確性を必ずしも保証するものではありませんので、ご了承ください。