スシロー、2度目の景品表示法違反?1度目とはどう違う?

目次

  1. フライングで半額キャンペーンの表示をしてしまったスシロー
  2. 景品表示法違反に当たるのか
  3. 有利誤認表示が発覚したらどうなる?
  4. 今回は課徴金が課せられる?
  5. 広告を出す前には一度冷静になってチェックを!


1. フライングで半額キャンペーンの表示をしてしまったスシロー

2022年6月、大手回転寿司チェーンのスシローが提供する商品「新物!濃厚うに包み」などの広告が景品表示法の禁止する「おとり広告」に当たると認められたことから、消費者庁は同社に対し、再発防止措置をとることなどを命令しました。

そして、同年7月13日には、スシローの複数店舗で「『生ビールジョッキ半額キャンペーン』を開始する前なのに、そのキャンペーンの広告を表示してしまった」ことが明らかになりました。キャンペーンの開始時期を広告に記載していなかったために、広告を見て「キャンペーン中だから生ビール半額だ!」と思ってしまったお客さんが生ビールを注文したところ、半額でなく全額のビール代を請求されたのです。

スシローは誤って広告を表示したことを認め、表示期間中に対象商品を購入したお客さんに対しては差額分を返金するとしています。

 

2. 景品表示法違反に当たるのか

この「開始時期を示さずに、半額キャンペーンの広告を出してしまったこと」は、景品表示法が禁止する「有利誤認表示」に当たり景品表示法に違反する可能性がかなり高いといえます。

「有利誤認表示」とは、「商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの」です。

ざっくり説明すると、「本当は違うのに、すごくお得であるように表示すること」です。このような表示は消費者を勘違いさせてしまい、自主的・合理的な選択を邪魔することになるため、禁止されているのです。

この「有利誤認表示」ですが、わざとではなく誤って表示してしまった場合も同様に規制の対象となります。

 

3. 有利誤認表示が発覚したらどうなる?

事業者に有利誤認表示があると考えられる場合、消費者庁はその事実について調査を行い、事業者に弁明の機会を与えます。その結果、やはり有利誤認表示があると認められれば、その事業者に対して措置命令をとります。

措置命令の内容としては次の事項が挙げられます。

  • 不当な広告の中止(差止命令)
  • 再発防止策の実施
  • 違反行為があった事実を消費者に示すこと
  • その他必要な事項(命令に基づいた措置をとったことを消費者庁長官に報告することなど)

スシローは前回の景表法違反の際には、①景品表示法違反の事実があったことを一般消費者に周知すること、②再発防止策を講じること、③今後、同じような表示をしないこと、を命じられました。今回も同じような措置命令を受ける可能性があります。

 

4. 今回は課徴金が課せられる?

前回と今回との違いは、課徴金が課される可能性の有無です。「課徴金」とは、景品表示法が「不当表示をやって儲けたなら、その分はお上に納めなさい」と定めているお金のことです。

課徴金のおおまかな金額は、不当表示の対象となった商品の売り上げ(対象期間は原則として不当表示を始めた日から止めた日までの間)の3%とされています。

スシローの前回の違反は、「おとり広告」だったため課徴金の対象外でした。しかし、今回は「有利誤認表示」であるため、理論上は課徴金の対象になりえます。

ただ、景品表示法は、算出した課徴金の金額が150万円未満となるときは納付を命じることができないとしています。

今回のケースでいえば、キャンペーンをフライングで表示してしまった店舗の、そのフライング期間中に、対象商品である生ビールの売上げがだいたい5000万円にならなければ課徴金は150万円になりません。

まだ事案の詳細はわかりませんが、フライングで表示してしまった店舗は約30店舗(2022年7月14日現在)で期間も数日程度だと思われるため、それを前提にすると、課徴金の額が150万円を超えて納付義務が課される可能性は低いのではないかと思われます。

 

5. 広告を出す前には一度冷静になってチェックを!

「不当表示」をしてしまうと、わざとでなくても景品表示法に違反したことになってしまいます。また、スシローのような大企業に限らず、中小企業・個人事業主も景品表示法の規制の対象なので、経営者の皆様は注意が必要です。

自慢の商品を買ってもらうために頑張ってキャンペーンを張るのは素晴らしいことです。商品の良いところを宣伝するのも大事です。しかし、景品表示法に違反してしまうと却って評判に傷をつけることになります。広告(特に大がかりなもの)を出す前には一度冷静になって、言い過ぎではないか、キャンペーン期間の表示は適切か、などをチェックするようにしましょう。

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以上

文責:弁護士 辻佐和子

※上記記事は、本記事作成時点における法律・裁判例等に基づくものとなります。また、本記事の作成者の私見等を多分に含むものであり、内容の正確性を必ずしも保証するものではありませんので、ご了承ください。