【不動産執行】不動産執行手続きはどのように進んでいくの?

交渉では債権回収ができない場合に、裁判を起こして相手方の不動産を競売にかけて、債権の回収を行うことがあります。今回の企業法務ブログでは、不動産執行の手続きの流れについて、説明いたします。

1. 不動産執行の申立て

不動産の所在地を管轄する地方裁判所に、書面で不動産執行の申立てを行います。基本的には、裁判を起こして勝訴判決をもらった人だけが、不動産執行の申立てを行うことができます。

2. 予納金の納付・開始決定・差押え

裁判所は、申立てが適法と認めたときは、不動産執行を始める旨及び不動産を差し押さえる旨を宣言する開始決定を行います。この際に、請求債権額に応じた予納金の納付が必要になってきます。

3. 現況評価関係手続き

裁判所は、執行官や不動産鑑定士である評価人に調査を命じて、不動産について詳細な調査を行います。

この調査により、売却基準額が決められます。調査には、1~2カ月程度かかります。

4. 物件明細書の作成・売却基準額の決定

評価人は、上記の現況調査に基づいて、物件明細書、現況調査報告書、評価書(いわゆる三点セット)を作成します。

これら三点セットには、土地の現況地目、建物の種類・構造など、不動産の現在の状況のほか、不動産を占有している者やその者が不動産を占有する権原を有しているかどうかなどの重要な情報が記載されます。

これら三点セットは、裁判所の閲覧室やインターネット上で公開された「BIT」システム(https://www.bit.courts.go.jp/app/top/pt001/h01)で確認することができるため、入札者はこれらを確認して入札を行います。

「BIT」システム

さらに、裁判所は、評価人の評価に基づいて売却基準価額を決定します。売却基準価額は、不動産の売却の基準となるべき価額です。入札は、売却基準価額の8割の価額(買受可能価額)以上の金額でしなければなりません。

5. 入札・開札

一般的に、期間入札の方法がとられます。「期間入札」とは、指定の期間内に入札が行われ、特定の日時に開札及び買受人の決定を行う入札のことをいいます。

現況調査が終わり、競売の準備が整うと、裁判所から申立人及び債務者に対し、期間入札の通知が届きます。通知書には入札期間、開札日、売却基準価額などが記載されます。

入札を行う者は、事前に保証金を納める必要があります(売却基準価額の2割に相当する金額と定められることが多いです。)。買受可能価額以上の価額をもって入札した者のうち、最高の価額もって入札した者が買い受け人となります。

入札期間に入札する人がいなかった場合、早い者勝ちとなります(特別売却)。ただ、買受可能価額はかわらないので、一番早くに買受可能価額以上で申し込みをした人が買受人となります。

特別売却でも買い手が現れない場合は、売却基準価額を下げて再び期間入札を行い、それでもダメならまた特別売却に移ります。買い手が見つかるまで、「(売却基準価額を下げて)期間入札」→「特別売却」の手続きを3回繰り返すのが一般的です。

6. 代金納付

上記の方法により買受人が決まり、売却許可決定が確定すると、裁判所は代金の納付期限を定め、買受人に通知をします。

買受人が代金を納付しないと、不動産を買い受ける資格を失い、提供していた保証金の返還も受けられないことになります。

7. 配当金等の支払い

売却代金の分配手続き(配当)が行われます。配当を受けられる債権者は以下の債権者です。

  • 差押債権者
  • 配当要求の終期までに配当要求をした債権者
  • 差押えの登記前に登記された仮差押えの債権者
  • 差押えの登記前に登記がされた先取特権、質権又は抵当権で売却により消滅するものを有する債権者

以上が不動産執行の流れになります。不動産は、一般的に経済的価値が高いため、債権回収を行う際には、優先的に検討することが多いです。

債権回収でお困りの方は、当事務所までご相談ください。

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以上

文責:弁護士 大友竜亮

※上記記事は、本記事作成時点における法律・裁判例等に基づくものとなります。また、本記事の作成者の私見等を多分に含むものであり、内容の正確性を必ずしも保証するものではありませんので、ご了承ください。