休業していたアルバイト女性への休業手当を適切に支払っていなかったとして、高松労働基準監督署がある放送局に対し労働基準法違反で是正勧告を行ったとの報道がありました。
1.報道によると
報道によると、8月から勤務していたアルバイト女性が、12月に体調を崩して休むようになってしまったとのことでした。体調不良の原因は、上司から「気持ち悪い」と暴言を吐かれる等のパワハラを受けたことであると説明されています。
そして約1か月後に、女性は復帰の意思を伝えましたが会社から休むように言われ、収入がなくなったので高松労働基準監督署に相談をしたとのことでした。
高松労働基準監督署による立ち入り調査の結果、女性の意思に反して休ませたにもかかわらず、休業手当が支払われていないとして是正勧告がなされたとのことです。
その後、放送局は取材に対し、「給与の支払いは既に終えている」と説明したようです。
2.休業手当について
では、どのような場合に休業手当は支払わなければならないのでしょうか。
まず、労働基準法26条は、「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。」と規定しています。これは、労働基準法が労働者の最低生活を保障するために、一定程度の給料保障の必要から規定されたものです。そのため、使用者側に責任のある理由で労働者を休業させた場合、平均賃金の6割の手当てを支払う必要があります。
そして、「使用者の責に帰すべき事由」はとても広く考えられており、天変地異等の不可抗力に該当しない限り使用者に帰責事由があると判断されています。
3.休業手当支払わなかった場合どうなるか
休業手当は労働基準法に規定されていることから、休業手当を支払わなかった場合には罰則が科され、付加金の支払いが命じられる場合があります(労働基準法120条1項、114条)。
4.半休を命じた場合でも同じなのか
では、丸一日の休業のみならず、労働時間の一部のみの休業の場合も含まれるか疑問に思われた方もいらっしゃるかもしれません。この点について、厚生労働省労基局長が回答をしており、労働時間の一部のみの休業も含まれるとの考えが述べられています。
5.最後に
使用者の責に帰すべき事由について広く解釈されていることから、休業を命じる場合には休業手当を支払わなければならない可能性があります。
ただ、現実には様々な事情により、休業を命じざるを得ない場合もあるかと思います。休業を命じて大丈夫なのか不安がある経営者の方は、お気軽に弁護士までご相談をいただければと思います。
※上記記事は、本記事作成時点における法律・裁判例等に基づくものとなります。また、本記事の作成者の私見等を多分に含むものであり、内容の正確性を必ずしも保証するものではありませんので、ご了承ください。