管理職の過重労働にこそ要注意!!

働き方改革、未払残業代の請求トラブルなど、長時間労働の削減は、会社にとって様々な面で急務となっています。そのような中で、上司と部下の板挟みになりがちであり、部下の労働時間管理を行う管理職の方達こそ、過重労働に注意が必要といえます。

実際に千葉県内でも、部下の残業削減を命じられた管理職の方が自分で仕事を抱えてしまい、過労の結果、自ら命を絶った痛ましい事件が起きています。

会社側の立場で労働トラブルの現場を見ている弁護士としても、今後、管理職の方の働き方を会社で注視していく必要があると考えています。

1 管理職はいくら残業しても大丈夫? ~名ばかり管理職の問題~

一時期有名飲食チェーンの問題などで話題になった「名ばかり管理職」の問題ですが、皆さん覚えているでしょうか。復習になりますが、労働基準法上の「管理監督者」に該当する場合には、時間外割増賃金及び休日割増賃金の支払が不要となるのが法律のルールです。もっとも、この「管理監督者」の要件はかなりハードルが高いため、実際はなかなか認められません。ところが、「多くの方が「名ばかり」の管理職として上記割増賃金の支払がされていない。」というのが上記の問題だったかと思います。

要するに、会社で決めた「管理職」と法律上の「管理監督者」はなかなか一致しないということです。管理監督者かどうかは、実際の事情を踏まえた判断になりますので、いくら会社が管理監督者であると主張してもその実態を伴わなければ認められません。

なお、仮に管理監督者に該当するとしても、だからといって会社が長時間労働等の過重な労働を防止する義務を負わないということにはなりませんので注意が必要です(法律上の管理監督者に該当するということは、労働時間に裁量がある場合が多いと思いますので、その点が上記会社の義務の程度に影響を与える可能性は当然あります。)。

この点、特に管理監督者にも該当しない管理職の方については、労働時間にあまり裁量がない方が多く、職責から無理をしやすい傾向もありますので、より過重労働とならないように注意が必要です。

2 管理職こそ労働時間管理が重要 ~過労から管理職を守るには~

既に述べたとおり、管理職の方は重い職責を負っており、本来的に無理をしてしまいやすいといえます。そのことに加えて、最近は、会社から、部下達の長時間労働を抑制するようプレッシャーを受けることも多いですし、ハラスメントの問題も深刻ですので、パワハラの主張をおそれて部下に委縮してしまい、なかなか仕事を頼めない方もいます。このような傾向からすると、管理職の方の方がむしろ過重労働に注意が必要といえるように思います。

会社としては、このように管理職の方が過重労働を抱えやすいことを理解することがまず重要かと思います。そのうえで、健康管理を目的とした労働時間の把握も行い、管理職が長時間労働に陥っている場合には、部下との関係調整や部署全体の業務量の調整など、会社ができる配慮を尽くすことが重要といえます。

また、部下とトラブルを抱えたり、その関係に悩んでいる管理職の方も最近多く感じますので、そういう方が気軽に誰かに相談できるような体制づくりも重要だと思います。

以上

文責:弁護士 三井伸容