Q&A 建物賃貸借で契約書で定めた期間が経過しても借主が出ていかない場合どうすればよいですか。

Q. 建物賃貸借で契約書で定めた期間が経過しても借主が出ていかない場合どうすればよいですか。

A. 解約に正当事由があるかどうかを検討した上で正当事由があると思われる場合には交渉・調停・裁判で明渡を実現しましょう。

建物賃貸借契約のルール

普通建物賃貸借契約の場合,期間の経過により当然に契約は終了しません。契約期間終了の6ヵ月以上前に契約を更新しない旨の通知をした上で,さらに解約についての正当な事由があることが必要です。正当な事由は賃貸人側が建物を利用したり建物を建て替えしたりする必要性と賃借人側が建物を利用する必要を考慮して検討することが多いです。また,建物の賃貸借に関する従前の経緯,建物の利用状況,建物の現況,立退料なども考慮されます。

裁判の場合の立退料の基本的な考え方

  • 一律の計算式はありません。個別の事案によって異なってきます。
  • 「(借家権価格+通損補償額)=立退料」
    上記の計算方法が裁判の場合には比較的多い事例です。
  • (「借家権価格」+「通損補償額」)×正当事由の程度=立退料
    上記の計算方法をとっていることもあります。
    正当事由の充足度が50%程度であれば,正当事由の程度として0.5をかける,正当事由の充足度が30%であれば,【1.0-0.3=0.7】となり,正当事由の程度として0.7をかけるということになります。

立退料の枠組みについて

立退料の支払義務の有無及び具体的な金額は,正当事由の充足度との相関関係によって決まってきます。ここでいう「正当事由」とは,賃貸人側の必要性,賃借人側の必要性,建物の賃貸借に関する従前の経緯,建物の利用状況,建物の現況などの事情のことを指しています。正当事由の充足度が100%の場合には立退料が0円という判断もあります。他方,正当事由の充足度が低い場合には,高額の立退料を提供したとしても正当事由がなく明渡しは認められないとの判断になることが多いです。ただし,裁判所の判決において明渡が認められる事案であったとしても,立退料が0円という判決は少ないです。いずれにしても,正当事由の充足度が高いほど明渡が認められやすく,また,明渡の際の立退料が低額となります。

具体的な進め方の4ステップ

具体的には以下の流れで検討をして進めていきましょう。

  1. 専門家と相談し作戦を検討(ステップ1)
    弁護士などの法律の専門家に相談し作戦を検討します。(この時点では弁護士が代理をする必要はありません)
  2. 通知の賃借人への送付(ステップ2)
    契約期間終了による明渡の通知を契約終了6ヵ月前までの間に賃借人に送付します。賃借人が明渡に応じた場合には合意書を作成して手続き終了となります。
  3. 立退料の交渉(ステップ3)
    賃借人が明渡に応じない場合には立退料の交渉をして,合意ができた場合には合意書を作成して手続き終了となります。(この時点では弁護士が代理をする必要が出てくる場合があります。)
  4. 裁判所での解決(ステップ4)
    合意ができない場合には裁判所に調停又は裁判の申立をします。その上で裁判所での和解又は裁判所での判決により手続き終了となります。(この時点では弁護士が代理をすることが一般的です。)

文責:弁護士 大澤一郎