業種 | その他サービス業 |
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お困りの問題 | 残業代, 人事・労務, 紛争・裁判 |
担当弁護士 | 前原 彩 弁護士 |
相談前
A社の元従業員であった者から、残業代の未払いがあるとして、通知書が届いた状態でした。また、元従業員は、勤務中に、他の従業員や代表者から誹謗中傷を受けたとして、かなりの額の慰謝料も請求してきていました。
相談後
- 元従業員の請求があまりに高額であったこと、社長から元従業員に対し話合いの要請をした際、元従業員が脅迫的な言動をしていたことから、すぐに弁護士が受任し、A社の代理人となりました。
- 元従業員が高額の慰謝料の請求を続けていたため、話合いでは到底解決できない状態であったことから、元従業員の要求には答えず、元従業員から裁判を起こされるのを待つ作戦をとりました。また、その間、別の元従業員からも未払いの残業代と慰謝料を支払えとの通知書が届きましたが、こちらも裁判に持ち込むべきと考え、そのまま要求には答えない状況にしました。
- そうしたところ、最初に残業代を請求してきた元従業員から、未払い残業代等を支払えとの裁判が起こされました。弁護士がA社の代理人になったため、元従業員からの残業代請求については、私たち弁護士が代理人として裁判に出廷しました。
- 裁判において元従業員は、元従業員が勤務している間、元従業員の休憩時間とされている時間にも、お茶出しなどの来客の対応などをする必要があったことから、実質的には労働時間であったと主張して、その部分の残業代の支払いなどを求めてきました。
- 私たちはこれに対し、
- 休憩時間は完全な休憩時間になっており、お客様対応をするよう指示したことなどなかったこと、
- A社には休憩室が用意されており、休憩室には電話等の設置もなく、休憩中にお客様対応をする態勢にはなっていなかったこと,
- 元従業員が休憩中にお客様対応をしたことは、元従業員の長年の勤務の中で、あったとしても数回に留まること、また、それは会社の指示ではなく、元従業員が単に好意で行っていたこと、
- 会社から元従業員に対して休憩中はそのような対応をしなくていい旨伝えていたこと、
などを主張しました。
- そうしたところ、裁判の途中で、元従業員が請求自体をあきらめ、訴訟自体を取り下げるに至りました。また、訴訟取り下げ後、元従業員に続いて残業代等の請求をしてきた別の元従業員からの請求も無くなりました。
担当弁護士からのコメント
- 元従業員からの請求が法外なものであり、話し合いができない状態である場合は、そのまま話合いを継続しても何の解決にもならない場合が多いため、裁判の場において解決することも選択肢の1つになります。
- この事案のように、他の元従業員も残業代請求のチャンスを窺っているケースは多々ありますので、多少時間や手間がかかったとしても、裁判等において、元従業員の請求が不当である旨をはっきりと主張しておくと、後々、芋づる式で残業代を請求されることを防ぐことができる場合が多いです。
- A社の場合、裁判において、休憩時間には何も対応しなくて良い旨指示していたことが大きく評価されました。会社が従業員が進んでこのような対応をしているのを知っていながら放置したり、好意に甘える形でお客様対応を任せているような場合、休憩ではなく労働時間だったと評価されてしまう場合もありますので、逐一対応することが大切です。