すぐに相談できる弁護士はいますか?-預金の仮差押えを受けてしまったら-

会社にとって緊急に弁護士に相談しなければならない事態の一つとして、預金口座の仮差押え(預金債権の仮差押え)を受けた場合が考えられます。

預金口座の仮差押えを受けた場合、少なくとも仮差押えを受けた金額は口座から動かせなくなってしまいます。そのため、一刻も早い仮差押えの解除を行う必要があります。

今回は、預金口座の仮差押え受けてしまった場合についてお話をさせていただきたいと思います。

そもそも仮差押えとは?

そもそも仮差押えとはどのような制度なのでしょうか?

仮差押えとは、せっかく訴訟で勝訴して強制執行をしようとしても財産を隠されてしまい、結局相手から回収できないといった事態を防ぐため、財産の処分や現状を変更することを禁止しておく制度です。

仮差押えをされてしまうとどうなるか?

では、預金口座の仮差押えがなされてしまうとどのような影響があるのでしょうか?

①仮差押えを受けた金額について、預金口座から動かすことが出来なくなってしまいます

②銀行に信用不安を抱かせてしまう可能性があります

③動かすことができる残った資金で取引先への支払、従業員の給与支払等の会社を運転しなければなりません

等といった重大な影響があります。さらに銀行から借り入れがあった場合、

④借入金全額について当然に期限の利益を喪失し、預金と相殺され、相殺後の残った借入金債務について一括返還義務を負うことになり、延滞に陥る可能性があります。

もはや企業存続にかかわる事態です。

すると、即座に仮差押えを解消するためには、不利な和解を受諾する以外にない事態にもなりかねません。

仮差押えをされてしまった場合の対応方法

では、仮差押えがなされてしまった場合、どのような対応方法が存在するのでしょうか?

①保全異議、保全異議に伴う執行停止

仮差押えに対して不服がある場合は、裁判所に「保全異議」という手続を申し立てることができます(民事保全法26条)。この保全異議が認められれば、仮差押えが取り消されることとなります。

なお、保全異議の申立てをしただけでは、当然に執行は停止されないので、執行を停止するためには、別途裁判所に、保全異議に伴う執行停止の判断を求める必要があります(民事保全法27条1項)。

②仮差押解放金の供託による仮差押えの執行の取消し

仮差押解放金として一定のお金を供託して、裁判所に仮差押えの執行を取消してもらう制度です。(民事保全法22条1項、51条1項)。

上で述べた➀が、仮差押えの効力自体を争うものであるのに対し、②は、仮差押えの効力自体は争わないものの、早期に仮差押えの状態を解消するために、代わりに金銭を差し入れる(供託を行う)、というものです。

③起訴命令申立を行い、訴訟の不提起による保全取消し

訴訟を提起するよう起訴命令申立を行い、訴訟が提起されなかった場合に訴訟の不提起を理由に仮差押えを取消してもらう制度です。

仮差押えは、本案(通常の訴訟)を提起することを前提とした制度であるため、このような取消しのルールも法律上定められています。

④その他

事情変更による保全取消し(民事保全法38条1項)や特別の事情による保全取消し(民事保全法39条1項)という制度も存在します。

上記のような仮差押えの対応方法が考えられ、事案に応じた対応方法を迅速にとる必要があります。

最後に

預金口座の仮差押えを受けた場合、会社の重大な影響を与える事態になりかねません。預金口座の仮差押えを受けた場合、その日のうちに事案に応じた迅速な対応を行う必要があります。

預金口座の仮差押えを受けた段階から弁護士を探していたのでは間に合わないかもしれません。

既に顧問弁護士としてご依頼をいただいている場合には、預金口座の仮差押えを受けた場合にも、迅速に対応することが可能です。

仮差押えについて少しでも疑問な点や顧問弁護士について興味がございましたら、お気軽に当事務所までご相談ください。

お問い合わせはこちら

文責:弁護士 根來真一郎

※上記記事は、本記事作成時点における法律・裁判例等に基づくものとなります。また、本記事の作成者の私見等を多分に含むものであり、内容の正確性を必ずしも保証するものではありませんので、ご了承ください。