飲み会における飲酒強要とパワーハラスメント

3月ということで、気候もすっかり暖かくなりました。年度末にむけての追い込みや新年度に伴う異動、新入社員の入社等、飲み会も増える時期と思います。

さて、飲み会となると、発生しがちなのでお酒に伴うトラブルです。お酒に伴うトラブルも無数に考えられますが、今回は飲酒強要に関するパワーハラスメント(アルコールハラスメント)の観点に絞って考えてみたいと思います。

ザ・ウィンザー・ホテルズインターナショナル事件

そもそも、パワーハラスメントとはどんな問題なのでしょうか。

飲酒強要に関するパワーハラスメント(アルコールハラスメント)に基づく損害賠償請求ついて判断した、ザ・ウィンザー・ホテルズインターナショナル事件(東京地裁平成24年3月9日判決)は、

  • 「パワハラ」という極めて抽象的な概念により、不法行為として損害賠償請求が認められるためには、質的量的に一定の違法性を具備していることが必要
  • 具体的には、人間関係、当該行為の動機・目的、時間・場所、態様等についての総合考慮が必要であり、企業組織もしくは職務上の指揮命令関係にある上司等が、職務を遂行する過程において、部下に対して、職務上の地位・権限を逸脱・濫用し、社会通念に照らし客観的な見地からみて、通常人が許容し得る範囲を著しく超えるような有形・無形の圧力を加える行為をしたと評価されることが必要

と判断しました。

では、ザ・ウィンザー・ホテルズインターナショナル事件においては、飲酒強要に関するパワーハラスメント(アルコールハラスメント)に基づく損害賠償請求は認められたのでしょうか。

裁判所は、原告が主張した「酒は吐けば飲めるんだ。」等と飲酒を強要された行為について、主張の不可解な点等を指摘して飲酒強要行為を行った事実は認められない、あるいは飲酒強要があったとしても、経過や態度等から上司としての立場を逸脱濫用し、通常人が許容しうる範囲を著しく超えるような性質内容であったとはいえないとして、飲酒強要に関するパワーハラスメント(アルコールハラスメント)について損害賠償請求を認めませんでした。

ただし、留守電を用いた「ぶっ殺すぞ」等の害悪の告知について、パワーハラスメントとして損害賠償請求を認めています。

パワーハラスメントか否かという境界線は、裁判所も極めて曖昧な概念と判示しているように実に悩ましい判断です。

会社経営者の皆様においては、昔ながらの感覚として「飲め飲め。」と飲酒を強要してしまうことがあるかもしれません。

しかしながら昨今のSNSで情報が手軽に拡散されてしまうことを考えると、まさかこんなことになろうとはという経過を辿り、事態が炎上してしまうことになりかねません。くれぐれも飲酒強要については、注意をしていただきたいと思います。

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文責:弁護士 根來真一郎

※上記記事は、本記事作成時点における法律・裁判例等に基づくものとなります。また、本記事の作成者の私見等を多分に含むものであり、内容の正確性を必ずしも保証するものではありませんので、ご了承ください。