業種
お困りの問題 ,
担当弁護士

相談前

建設業を営むA社は、親族で少数の株式を有する株主から、継続的に様々な要求がされていました。過去に会計帳簿の閲覧謄写請求などもされたことがあります。比較的大きな取引を会社が行った際に、少数株主が会社に対して、「会社が取締役に対して損害賠償請求訴訟を提起すること」を求める通知を送付してきました。会社としては、何ら問題ない取引と考えていましたのでその旨を株主に回答したところ、株主が株主代表訴訟を起こしてきました。

相談後

弁護士と相談した結果、当該取引について法律上損害賠償請求が発生する可能性は極めて低いことがわかりました。そのため、裁判において徹底的に争うこととしました。最終的には、2年かかりましたが、取締役には責任がないという裁判所の判決がなされました。

担当弁護士からのコメント

  • 株主代表訴訟とは、株主が会社のために、取締役等の役員に対して起こす訴訟のことです。取締役が会社に損害を与えたことを理由として、会社に代わって株主が裁判を起こします。訴訟を行うのは株主ですが、取締役から賠償金を得たとしても、賠償金については株主ではなく会社が受領することになります。
  • 株主代表訴訟は、会社に対して書面をもって、会社が取締役の責任を追及する訴えを提起するよう請求し、その請求のあった日から60日以内に会社が訴えを提起しない場合に提起をすることができます。ただし、期間の経過を待っていては会社に回復することができない損害が生じるおそれのある場合には、すぐに訴えを提起することも可能です。
  • 株主代表訴訟においては、原告が株主、被告が取締役となります。そして、会社は、裁判手続きに補助参加という形で参加をすることができます。
  • 明らかに不当な株主代表訴訟が起こされた場合には、取締役は、裁判所に対して、裁判を起こした株主に相当の担保を提供することを命じる申立をすることにより対抗をすることができます。また、株主権の濫用であり、訴えを却下することを求める主張をすることも考えられます。
  • 株主代表訴訟では、通常の訴訟と異なる様々なルールがあります。株主代表訴訟を提起された場合には、専門家に相談をした上で、適切な対応を検討する必要があるでしょう。また、そもそも株主代表訴訟を提起されないように、法令を遵守した経営を経営者が心掛ける必要があります。