グレーゾーン解消制度と新事業特例制度

今回は、平成26年1月20日に規制改革の一環として施行された「グレーゾーン解消制度」及び「新事業特例制度」についてブログを書きました。これらの制度は、事業者が主体となって規制改革を行うことでスムーズな事業のスタートアップを促進する制度で、新事業を計画されている方は必見です!

1. グレーゾーン解消制度

グレーゾーン解消制度は、事業者が、現行の規制の適用範囲が不明確な分野において、具体的な事業計画に即し、あらかじめ規制の適用の有無を確認できる制度です。

この制度によって、新しく事業を始める際に、その計画している事業が特定の法律の規制に抵触しないかどうか不明確なグレーゾーンを事前に確認することができ、安心して新規事業を行うことができるようになりました。

2. グレーゾーン解消制度利用の手続き

(1)申請方法

計画している新規事業計画が規制に抵触するかどうかの確認は、事業を所管する省庁の大臣(事業所管大臣)に対して行うことになります。書式などは経済産業省のHPからダウンロードして使うことができます。

(2)申請に対する回答

規制の適用の有無についての回答は、事業所管大臣が当該事業の規制を行う省庁の大臣(事業規制大臣)に確認の上、原則として1ヶ月以内で行われることになっています。短期間で回答を得られる制度になっていて、規制の適用の有無を迅速に確認し、スムーズに新規事業の立ち上げを行うことができます。

(3)回答後の事業所管大臣によるサポート

なお、新規事業が規制の対象であることが明らかになった場合であっても、事業所管大臣から後述の「新事業特例制度」の活用を提案されたり、規制に抵触しないように事業計画を変更することを含めて指導助言をしてもらったりするなど、規制の対象となった場合でも新事業の立ち上げをサポートしてもらうことができます。

3. 新規事業特例制度

事業者が安全性等を確保する措置を実施することを条件として、企業単位で規制の特例措置を講ずる制度です。

この制度に基づいて特例が認められた場合、本来新事業に適用される規制があるにもかかわらず、その申請を行った事業に限定して特例が設けられ、新しく事業を行うことができるようになります。

4. 新規事業特例制度利用の手続き

(1)申請方法

新規事業をしようとする事業者は、規制の特例措置の要望を事業所管大臣に提案します。申請の書式などは、グレーゾーン解消制度と同じく経済産業省のHPに掲載されています。

(2)申請に対する回答

上記の申請に対する回答は、こちらもグレーゾーン解消制度と同じく、原則として1ヶ月以内に行われることになります。

(3)新事業活動計画の認定

規制の特例措置を講ずるという回答が行われた場合、事業所管大臣は規制の特例措置を創設することになります。事業者は、特例措置が創設された後、新事業活動計画を作成して事業所管大臣に対して事業を行うことを申請し、これに対する認定が行われると、新たに事業活動を行うことができます。

5. まとめ

今回ご紹介した制度は、新規事業を行う際に規制に抵触するかどうかを確認するだけでなく、事業所管大臣から指導や助言を受けられるなど、新規事業を計画している事業者に対して手厚いサポートが用意されているという印象を受けました。

また、経済産業省のHPにはこれまでに申請が行われた事案とその判断が掲載されています。制度施行から4年が経過して事例がかなり増えてきていることから、今まで集積された事案を参考にした上で制度利用の検討もできるようになってきていると思います。

グレーゾーン解消制度の利用の際には、規制の根拠となっている法令等の具体的な文言についての申請者の見解を記載する等、法的知識やリサーチが必要になってくる部分もありますので、ご興味やご質問などありましたら当事務所までお気軽にお問い合わせください。

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文責:弁護士 加藤貴紀

※上記記事は、本記事作成時点における法律・裁判例等に基づくものとなります。また、本記事の作成者の私見等を多分に含むものであり、内容の正確性を必ずしも保証するものではありませんので、ご了承ください。