裁判手続外での交渉について
1 労務トラブルについて
労働は継続的な性質を持ち、日々様々な内容の労働が遂行されています。そのため、労務トラブルは多様かつ非典型的な性質を持ち、個々の事案に応じた利害調整が必要となります。
また、労務トラブルを解決するためには、幅広い分野の専門性が必要とされます。労働基準法や労働契約法といった労働法関連の知識のみならず、各種社会保険制度等に対する幅広い理解まで必要とされるためです。
そして、労務トラブルには、様々な解決方法が用意されています。当事者同士による任意の交渉、裁判手続においても保全処分や労働審判、訴訟等の複数の選択肢があります。いかなる解決方法が最適と言えるかは、事案により慎重に判断することが必要となります。
2 弁護士が委任を受けて交渉にあたる場合
労働問題に関する法律の専門知識を持つ弁護士であれば、経営者の方に早期解決に向けた適切なアドバイスを行うことが可能です。また、弁護士が窓口となることで、経営者の方の精神的・時間的負担は大きく解消されることとなります。
弁護士が労働者と交渉することで合意が成立した場合、合意内容を明確にするため書面を作成します。労働契約の解約日に関する条項、秘密保持に関する条項、本件合意の他に債権債務はがないことを確認する条項等が記載されます。
3 メリット
- 裁判手続によった場合には認められないような、柔軟な解決が可能です。
- 裁判手続によった場合に比べ、迅速な解決が可能です。
- 当事者間の交渉なので、非公開で解決することが可能です。
4 デメリット
任意の交渉のため、こちらの方針や相手の反応次第によっては何ら解決をすることができない場合があります。その場合には、裁判手続を検討することとなります。