労働審判について

1 制度

労働審判制度とは、労働審判委員会が、労働紛争について審理し、双方歩み寄りによる解決の見込みがある場会には調停を試み、双方歩み寄りによる解決に至らない場合には労働審判を行うことにより、迅速、適正かつ実効的な解決を図る制度です。労働審判法により設けられ、平成18年4月より運用が開始されました。

2 手続概要

対象となる事件は「個別的労働関係民事紛争」、すなわち「労働関係の存否その他の労働関係に関する事項について個々の労働者と事業主との間に生じた民事に関する紛争」です(労働審判法1条)。具体的には、解雇、雇止め、配転、出向等が対象となります。

労働審判委員会は、裁判官である労働審判官1名と、民間から選出され労働に関する専門的な知識を有する労働審判員2名の合計3名で構成されます。

当事者は、個別労働関係民事紛争の解決を図るため、裁判所に対し、労働審判手続の申立てを行います。(労働審判法5条1項)。第1回期日は、申立てがされた日から40日以内の日に指定されます(労働審判規則13条)。そして労働審判は、3回以内の期日で審理を終結しなければなりません(労働審判法15条2項)。期日は、原則非公開です(労働審判法16条)。

第1回期日においては、双方の主張を記載した書面(申立書及び答弁書)等から争点を確定し、事実調査のため提出された証拠を調べます。第2回期日においては、証拠調べの補充や調停が行われます。調停では、事実調査をふまえた解決案が示され、双方が歩み寄ることができれば、合意により紛争が解決されます。第3回期日においては、証拠調べの補充や調停が成功しない場合、審理を終結して、審判を行うことになります。

審判は、審理の結果認められる当事者間の権利関係及び労働審判手続きの経過をふまえて行われ、当事者間の権利関係を確認し、金銭の支払い、物の引渡し、その他の財産上の給付を命じ、その他個別労働関係民事紛争の解決をするために相当と認める事項を定めることができます。
労働審判が下された場合、当事者は、2週間以内に異議申し立てをすることができます(労働審判法21条1項)。適法な異議申立てにより、労働審判は効力を失い、訴えの提起があったものとみなされます(労働審判法22条1項)。異議申立てがない場合、労働審判は確定し、裁判上の和解と同一の効力を有します。

3 メリット

  1. 労使専門家の司法手続への参加により、専門的な知識経験を生かすことによって、紛争に対しより適正な判断がなされます。
  2. 3回以内の期日で審理が集結するので、紛争の迅速で集中的な解決を図ることが可能です。
  3. 調停を包摂した審判手続なので、当事者双方の歩み寄りによる和解が紛争をより実質的に解決します。
  4. 審判に異議ある場合には通常訴訟へ移行するので、訴訟手続と連携しています。
  5. 原則、非公開の手続きです。
    調停によった場合、調停条項として守秘義務条項を加えることもできます。

4 デメリット

  1. 審判に異議が申し立てられれば、訴訟に移行することとなります。
  2. 3回以内の期日で審理が終結するので、事実関係などが複雑な事案には向かない場合があります。
  3. 金銭的な解決が中心となりがちですので、金的銭解決を全く望まない方には向かない場合があります。