労働災害について

労働災害は、大きく分けて、「通勤災害」と「業務災害」の2種類に分けることができます。

1. 通勤災害

労働者が会社に通勤する際に交通事故に遭ってしまった場合は、「通勤災害」として、労働災害と扱われることになります。通勤災害の場合、会社としては、労働者の求めに応じて、労災利用の手続を進めていくことになります。会社が個人的に責任を追及されることは、ほぼありません。

2. 業務災害

労働者が業務中に機械に巻き込まれて負傷した場合は、「業務災害」として、労働災害と扱われることになります。また、労働者がうつ病を発症して自殺した場合や、脳梗塞・心筋梗塞により亡くなった場合等も、この「業務災害」=労働災害と判断されることがあります。

後者のような、労働者が精神疾患にかかった場合や、脳疾患・心臓疾患にかかった場合は、その疾患が業務(過重労働、セクハラ、パワハラ等)に起因するものであるのか、それ以外(私生活上の問題、健康上の問題等)に原因があるのか、非常に判断が難しいケースといえます。会社として、死亡・病気と、業務との間の因果関係がないと考えた場合には、労災の認定自体を争うこととなります(詳しくは、「労働災害の解決の流れ」のページをご覧ください)。

業務災害が起こってしまった場合、労働者やその遺族から、個別に会社の責任を追及され、高額の賠償金を支払う可能性(訴訟リスク)や、報道・企業名の公表によるレピュテーションリスクの問題など、会社にとって様々なリスクを孕んでいます。また、労働災害固有の問題ではありませんが、背景に違法残業による長時間労働がある場合には、労働基準法違反として、経営者・会社が刑事処分を受ける可能性もあります(詳しくは、「労働災害Q&A」をご覧ください)。

労働災害の解決の流れ

1. 初期対応

業務中に労働災害が起こってしまった場合(機械に巻き込まれて負傷した場合等)、まずは被災労働者の救助・治療が第一優先なのは言うまでもありませんが、それが終わった後は、警察・労働基準監督署の対応の準備や、関係者・目撃者への事情聴取、事故現場の状況の保存化(写真・動画撮影等)など、様々なことを行う必要があります。

特に、事故直後の現場の状況や、目撃者の供述は、後に発展し得る民事訴訟においても極めて重要です。
このように、不幸にも労働災害が起こってしまったときは、初期対応が非常に重要といえます。

2. 労災認定への対応

労働者がうつ病を発症して自殺してしまった場合や、脳梗塞・心筋梗塞により亡くなった場合などは、それが業務(過重労働、セクハラ、パワハラ等)に起因するものであるのか、それ以外(私生活上の問題、健康上の問題等)に原因があるのか、非常に判断が難しいケースといえます。

会社として、死亡・病気と、業務との間の関連性がないと考えた場合には、労災の認定自体を争う必要があります。この場合、会社として意見書を作成し、これを労働基準監督署に提出した上で、労災に当たるかの判断をしてもらうこととなります。判断に不服がある場合には、不服申立て(審査請求)を行うことができ、更に不服がある場合には、再審査請求を行うか、裁判(行政訴訟)をして、裁判所の判断を仰ぐこととなります。

労災認定そのものを争う場合、説得的な意見書を作成できるかが非常に重要なポイントとなってきます。

3. 民事訴訟

対応業務災害の場合は、労働者やその遺族から、会社が個別に責任を追及されることも多く、話合いで解決できない場合には、民事裁判になることが予想されます。

裁判においては、労働者側の主張のうち、どの部分を争うかを検討した上で、会社の主張を裏付ける準備書面の作成や、その前提となる十分なリサーチ、証人尋問の準備等、様々な準備を行う必要があります。また、裁判がある程度進行した段階においては、判決の見通しを立て、敗訴リスクを踏まえた上で、和解の可能性についても検討する必要があります。

4. 事後対応

労働災害により、被災労働者に後遺障害が残ってしまった場合は、復職のタイミングや、復職後の処遇等の問題が生じる可能性があります。

また、労災認定が出た後に、労働基準監督署から是正指導・監督を受けることもあり、これに対する対応が必要な場合もあります。

5. おわりに

労働災害の問題は、初期対応から事後対応に至るまで、適切なタイミングで、様々な対応を行う必要がある上、訴訟リスクやレピュテーションリスクなど、会社にとって様々なリスクを孕んでいます。不幸にも労働災害が発生してしまった場合には、すぐに弁護士に相談することをオススメします。