特許とは

特許とは、高度な技術開発に対し付与される独占権のことをいいます。

法律上、高度な技術開発をした場合には当該技術開発の結果を他の人や企業に使われることなく一定期間独占できるようにすることで、発明行為を促進しています。

また、出願された特許は公開されることになりますが、公開されることによって技術内容が広く一般に周知され、産業の発達に寄与することもその目的とされています。

特許を管轄する法律は特許法ですが、特許法にも法の目的として「発明の保護及び利用を図ることにより、発明を省令し、もって産業の発達に寄与することを目的とする」とされています(特許法1条)。

特許をとるためには

特許をとるためには、当該発明について記載した出願書類を特許庁に提出し、審査のうえ、登録してもらわなければなりません。

発明をした場合、何でも特許として認められるわけではなく、発明のうち、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち、高度のものが特許法にいう「発明」とされ(特許法2条本文)ます。

また、特許法上の発明であったとしても、その発明が、

  1. 産業上利用できる発明であること
  2. 新規性があること
  3. 進歩性があること
  4. 当該発明について先に出願されていないこと
  5. 当該発明が公序良俗に反していないこと

を満たす必要があります。

「産業上の利用可能性がある」とは、市販されたり営業上に利用できる可能性があることを指します。

つまり、それらに当てはまらない場合には、産業上の利用可能性がないため、特許を取ることができません。

例えば、「オゾン層の破壊を防ぐために、地球全体をプラスチックフィルムで覆う方法」といったように実現可能性がない発明は産業上利用できないため、特許を取ることはできません。

特許とは、新たな技術開発を促すものであるため、発明であったとしても、新規に発明されたものがその対象となります。

既に国内・国外において公然に知られた発明であったり、特許出願前に公表されていたりすると新規性の要件を満たしません。

そのため、発明をした場合には、特許出願前に公開しないことが重要になります。

進歩性とは、当該発明が、世の中に存在している先行技術に基づいて、その分野の専門家が容易に発明できたとは言えないことをいいます。

回りくどい言い方ですが、つまり、「その分野の専門家なら誰だって思いつくよね」と言えないことが進歩性の要件です。

誰でも思いつくような発明に対して独占権を与えることはできないため、進歩性の要件は厳しく審査されます。

当該発明について先に出願されていないこととは、仮に同一の発明がなされた場合、先に出願した方が勝ちということです。

同一の発明がなされた場合、両方に独占権を与えることはできないため、このようなシステムが採用されています。

当該発明が公序良俗に反していないこととは、例えば、「紙幣の偽造機械」といったような明らかに社会の風紀を乱すような発明については特許として認めないということです。

このような技術が公開されても産業の発達に寄与するとはいえないためです。

自社の特許権が侵害された場合には

無事に特許が取得できたとしても、その独占権が侵害されてしまったら特許を取得した意味が半減してしまいます。

自社の特許が侵害されている場合には、どういった救済手段があるのでしょうか。

特許が侵害されているかの調査

まず特許が侵害されていると言うためには、自社の特許が有効に成立している必要があります。自社の特許が有効に存続しているか今一度確認しましょう。

その上で、侵害していると思われる製品が、自社の特許の発明の技術的範囲に属するか再度慎重に検討しましょう。

侵害されている場合には、まず、警告書の送付

特許が侵害されているとの判断に至った場合には、まず、当該製品の製造や販売の差し止め、特許の使用の中止を求める警告書の送付を行うことも多いです。警告書の送付によって、侵害が止むのであればそれに越したことはありません。

侵害が止まない場合は、仮処分の申立てや訴訟提起

警告書をもってしても侵害が止まない場合には、使用差し止めの仮処分の申立てや、差止や損害賠償を求める訴訟の提起をして、司法の判断を仰ぐこととなります。

いずれにしても、特許が侵害されているかもしれない、と思った時点で速やかに専門家の判断を仰ぐことが重要です。