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担当弁護士

最終更新日:2023年11月10日

ご相談に至る経緯

A社の元従業員から、残業代の未払いがあるとして、通知書が届きました。

その従業員は、勤務中に他の従業員や代表者から誹謗中傷を受けたとして、かなりの額の慰謝料も請求していました。

A社は、請求があまりに高額であったこと、社長が元従業員に話合いを求めたときに元従業員から脅迫的な言動をされたことなどから、すぐに弁護士に依頼することにします。

弁護士はA社の代理人として活動することになりました。

解決までの流れ

元従業員が高額の慰謝料の請求を続けていたため、話合いでは到底解決できない状態でした。

そこで、元従業員の要求には応じないという方針をA社と弁護士は決めます。

そして、元従業員が裁判を起こしたときは徹底的に戦うという方向性にしました。

別の元従業員からも請求が届く

別の元従業員からも残業代と慰謝料を請求する通知書が届きました。

しかし、内容が明らかに不当と思われたため、裁判に持ち込むのが相当でした。そのため、同じく要求に応じないという方針にします。

最初の元従業員から裁判を起こされる

最初に残業代を請求してきた元従業員から裁判が起こされました。

裁判では、弁護士が代理人として出廷しました。

元従業員は、元従業員が勤務している間、休憩時間とされている時間にもお茶出しなどの来客対応をする必要があったと主張します。

法的にはこれらの時間が労働時間であったという主張です。

元従業員の主張に徹底的に反論

A社は弁護士と相談のうえ、徹底的に反論します。具体的には次の通りです。

  • 休憩時間は完全な休憩時間になっており、お客様対応をするよう指示したことはない。
  • A社には休憩室が用意されており、休憩室には電話等の設置もなく、休憩中にお客様対応をする態勢にはなっていなかった。
  • 元従業員が休憩中にお客様対応をしたことは、元従業員の長年の勤務の中で、あったとしても数回に留まる。
    また、会社から元従業員に対して休憩時間中にそのような対応をしないとよいと伝えていた。
    したがって、仮にそのような対応をしていたとしても、それは会社の指示ではなく、元従業員が単に好意で行っていたことである。

元従業員が裁判を取下げ

裁判の途中で、元従業員は請求自体をあきらめ、訴訟自体を取り下げました。

また、訴訟取り下げ後、元従業員に続いて残業代などを請求していた別の元従業員からの請求もなくなりました。

結果・成果

元従業員とのやり取りを弁護士が代わりにすることで、役員や従業員の負担を軽減し、本業に集中していただくことができました。

弁護士に依頼して適切な反論をすることで、結果的に従業員への支払いなく解決することができました。

担当弁護士からのコメント

元従業員からの請求が法外なものであり、話し合いができない状態であるときは、そのまま話合いを継続しても何の解決にもならないことが多いです。

そのため、裁判にて解決することも選択肢の1つです。

休憩時間には何も対応しなくてよいと指示

今回の裁判では、休憩時間には何も対応しなくてよいと指示していたことが、大きく有利に評価されました。

従業員が休憩時間に何らかの仕事をしているのを会社が知りながら放置したり、好意に甘える形でお客様対応を任せていたりする場合、休憩ではなく労働時間と評価されてしまうこともあります。

予想外の残業代請求となってしまうことがありますので要注意です。

他の従業員への配慮が必要

今回の事案のように、他の元従業員も残業代請求のチャンスをうかがっているケースは多々あります。

多少時間や手間がかかったとしても、裁判などにおいて、元従業員の請求が不当であることをはっきりと主張しておくと、後々、芋づる式で残業代の請求がくることを防ぐことができます。

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監修者:弁護士 前原彩

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注:事案の本質を損なわない範囲で一部事案内容を変更している場合があります。