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担当弁護士

相談前

建築塗装業を営むA社では、塗装工である従業員B氏が会社に対して文句を言って帰ってしまうという出来事が発生しました。B氏に対して電話連絡して出社を促しましたが、B氏は出社に応じませんでした。しばらく経つと、B氏が、A社が自らを不当解雇したとして地位確認や損害賠償を求める労働審判を申し立てました。

A社は裁判所から労働審判の呼出状を受け取り、弁護士に相談しました。

相談後

A社を代理し、労働審判手続に臨みました。B氏側の主張は事実と異なっていたことから、A社の役員や従業員から事情聴取してA社側のストーリーのほうが合理的であること、B氏側の主張が不自然であることを指摘しました。

その結果、裁判所労働審判委員会から、A社がB氏側に対し解決金という名目で給与1か月分を支払うとの調停案が出されました。A社はこれでB氏との関係がなくなるのであれば応じても良いとの意向でしたが、B氏は自らの請求金額に比べて約25分の1程度の金額しか示されなかったことから、B氏側がこれに応じない可能性も視野に入れて訴訟の準備もしました。結局B氏側も調停案を受け入れ、解決となりました。

担当弁護士からのコメント

  • 従業員よりもその妻のほうが声が大きく、労働審判にも同席をさせろと要請していました。裁判所からは妻の同席に同意するかどうかの意向確認を受けましたが、問題はA社とB氏との間にどのようなやり取りがあったかでして、B氏の妻はその点について直接見聞きしたわけではありません。したがって、B氏の妻の同席を許すと却って話が混乱することは明らかでした。B氏の妻を労働審判手続から排除することが、適正な解決の一因になったといえます。
  • たしかにB氏は怠惰で態度の悪い従業員だったようです。そのため、A社の他の従業員や役員もB氏のことをよく思っていない側面もありました。しかし、B氏の水準の仕事ができる塗装工を確保するのは非常に困難であるという事情もあり、B氏に去られたことはA社にとっても痛手でした。実際、B氏を失った後、A社は急遽アルバイトを募集して塗装をする従業員を採用しましたが、B氏の仕事ぶりには遠く及ばないものでした。そうした事情を聴取して丹念に積み上げ、A社にとってB氏がいかに大切な従業員であったかを強調することが、どちらの主張が合理的なのかを裁判所が判断するのに役立てることができました。